復活の歌姫

便利屋68Side

「アル様。予定通りに仕掛け終わり、今は近くに一般人の気配は一人もいません。」

「ご苦労様♪ハルカちゃん♪」

「フフ……後は依頼人から指定されている時間に合わせて起動させるだけね……」

その頃、都内の人気のないビル付近の路地裏にて、若干オドオドしながらそう報告する紫の髪に帽子を被った十六歳くらいの少女、伊草いぐさハルカに銀髪のサイドポニーテールの十五歳くらいの少女、浅黄あさぎムツキが笑顔でそう言うなか、アルがそう言いながらビルを見上げる。

「……ねぇ、社長。」

「なにかしら?カヨコ課長。」

「……今回の依頼、本当にやる気?」

そんななか、黒のポニーテールと前髪の一房は黒、それ以外は白髪の二十三歳くらいの女性、鬼方おにかたカヨコが真剣な表情でそう尋ねる。

「勿論よ。受けた依頼はきっちりこなす。それが私達、『便利屋68』なんだから。」

「………」

「大丈夫よ。カヨコ課長。近くに少しでも一般人の気配でもあれば、すぐに中止にするから……」

「……そう……」

「ハルカ、ムツキ室長。念のため、起動時間までの間、一般人が巻き込まれないように見張りの方に行って頂戴。」

「わかりました。アル様。」

「りょうかぁ~い♪」

「カヨコ課長もお願いね。」

「……わかった……」

(なんか嫌な予感がする……)

カヨコはそう思いながら、ビルを見上げながらハルカとムツキと同じように見張りへと向かった。

吉松Side

『予定通り、ツヴァイウイングが収録を終え、警護に当たっているリコリス数名と共にTV局から出てくるのを確認しました。』

その頃、『アラン機関』の息がかかったオフィスビルの一室にて、吉松は秘書の姫蒲から報告を受ける。

「……ロボ太君と例の便利屋・・・は?」

『どちらも準備は完了しております。
後はタイミングを合わせる・・・・・・・・・・のみ………』

「そうか……では、始めようか。奇跡の歌姫・・・・・……その復帰・・を………」

次の瞬間、吉松は妖しげな笑みを浮かべながらそう宣言した。
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