復活の歌姫

イベント会場出入口付近・・・

「あ!梨紗先輩っ!千景っ!」

「おまえら……何処に行ってたんだ?」

イベント会場の出入口付近まで戻ってきた梨紗と千景に対し、警備として巡回していたサクラはそう言い、一緒に巡回していたフキは真剣な表情でそう尋ねる。

「ちょっと武器を取りに行ってたのよ。」

「?ギターケース……もしかして噂のヘカート……でも、千景も背負ってるし……ひょっとして千景もヘカートを?」

「違うわ。私個人伝手ツテで特注した新型ソードよ……抜かないに越したことはないけどね………」

ギターケースを見ながら、首を傾げながらそう尋ねるサクラに対し、梨紗は真剣な表情でそう答える。

「?」

「……例の刀使いか……」

「えぇ。千束とたきなにも言ったけど、あの子に対処できるのはソードも扱える私と千景のみ。万が一貴女達の前に現れたらなるべく戦闘は避けて、私と千景の二人に連絡を頂戴。」

「すぐに駆けつけるわ。」

「?そんなに警戒する程のヤツなんすか?刀が武器なら近付かれる前に撃っちゃえばよくないすか?」

「サクラ、あのなぁ………千束のヤツが銃を切られたんだぞ?」

ブラッディーリーフのことを過小評価しながらそう言うサクラに対し、フキは呆れながらそう言う。

「油断してたんじゃないっすか?」

「はぁ……」

「………乙女さん、構えなさい……」

対するサクラからの言葉にフキが軽くため息を吐くなか、千景は自然体のままでそう言う。

「……まぁ、別に良いっすけど……」

対するサクラは周囲に自分達以外の人間がいないのを確認してから、そう言いながら取り出したグロックを構える。

ヒュッ!!

「っ!?」

「………」

が、次の瞬間、素早くアーマーシュナイダーを引き抜いた千景がその切っ先をサクラの鼻先まで突きつける。

「………」

「これに反応できないようでは、今頃首が飛んでるわよ。」

「高い洞察力と反応速度を持つ千束ですら、辛うじて初撃に反応して避けられた……」

「梨紗達ウイングチームにしかまともにやり合えない敵ってことだ。」

サクラが顔を青ざめるなか、千景と梨紗、フキの三人は冷静にそう言う。

「ッ……」

「………」

「ところで、これからどうする?」

「そうね……エリカとヒバナは今、イベントの主催者の警護に当たってるんだったわよね?」

サクラと千景がグロックとアーマーシュナイダーを仕舞うなか、そう尋ねるフキに対し、梨紗はそう聞き返す。

「あぁ、それとこことは別の出入り口付近には政府がカモフラとして用意した、リコリスわたしたちのことを黙認している警備の人間が付いているという話だそうだ。」

「あ!あの人達もそう・・っすね!!」

対するフキがそう説明するなか、サクラはそう言いながら近くの工事現場で交通整理をしている作業員の方を指差す。

すると、指差された作業員がギロッとサクラを睨む。

「あっ……」

「バカッ!指差す奴がいるかっ!!」

「すっ、すいませんっ!!」

「乙女さん……」

「はぁ……まぁ、いいわ。まだまだ例のアイドルユニットと千束達は来ないんだし、ここはあの人達に任せて、今の内に館内を一通り見て回りましょう。不審物があるといけないしね。」

「……わかった……」

そうして梨紗達四人はイベント会場へと入っていった。
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