復活の歌姫

「おっはよーございまーす!!」

「おはようございます。」

その頃、ツヴァイウイングの護衛任務に就いた千束とたきなはそう言いながら、彼女達の所属事務所のオフィスルームに入る。

「おぉっ、元気なのが来たね。」

「貴女達が私達の護衛に着くという……?」

「デスデスー♪リコリスの錦木千束ですぅー♪
こっちは相方のたきな♪」

「井ノ上たきなです。よろしくお願いします。」

千束の元気の良さに奏が笑顔でそう言うなか、首を傾げながらそう言う翼に対し、千束とたきなはそう自己紹介をする。

「外に後二人いるから、また後で紹介しますね!!」

「見たところ、私達より年下のようだけど………」

「まあまあ、親父さんが態々わざわざ政府のお偉いさん方に掛け合って用意してくれた護衛なんだろ?
だったら問題ねぇだろ。」

「?翼さんのお父様……ですか?」

奏が口にした『翼の父親』のことについて、たきなは首を傾げながらそう言う。

「あれ?そっちのお偉いさんから聞いてない?
翼の親父さんは内閣の情報官なんだよ。」

「ちょっ、奏っ!?」

「そうなんですか!?」

「まぁ、あたしも翼とユニット組んだ後に知らされたんだけどなぁ~。」

翼の父親が内閣情報官だということにたきながそう困惑の声を上げるなか、奏は笑顔でそう言う。

「なるほど……いくら米国の要人も参加するチャリティーライブのメインアイドルユニットだからって政府がリコリスわたしたちを護衛として駆り出すものかと思ってもいましたが……そういう『繋がり』でしたか……」

「奏さんももしかして、政治家のお偉いさんのお嬢様とか?」

「いやいや。うちの両親は二人とも、普通の歴史研究家の一般人だ。主に古い刀を調べるために日本各地を渡ってるんだ。」

「へぇ~~~。」

「………」

「貴女達なら大丈夫だとは思いますが、翼さんのお父様のことについてはどうかご内密に……」

首を傾げながらそう尋ねる千束に奏が笑顔でそう答えるなか、黒ぶち眼鏡を掛けた茶髪の青年がそうたきなに話しかける。

「?貴方は……」

「あぁ、申し遅れました。私はこういう者でして……」

青年はそう言いながら一枚の名刺をたきなに差し出す。

名刺には『小滝興産株式会社 『ツヴァイウイング』マネージャー 緒川おがわ慎次しんじ』と書かれてあった。
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