復活の歌姫

翌日、朝の喧騒に包まれるオフィス街の交差点に面している小さなオフィスビル……

ジリリリンッ!ジリリリンッ!

そこの三階の一室にて、黒電話の音が鳴り響く。

ガチャッ!!

「はい。こちら、『便利屋68シックスティエイト』。陸八魔りくはちまです。」

窓際の机の椅子に座る、落ち着いた桃色のロングヘアーの女性がそう言いながら受話器を手に取る。

『お疲れ様です、私です。』

「これはどうも……」

『そちらの準備はどうですか?』

「はい……こちらの準備は整っております。後はそちらから事前に指定されたタイミングで実行するのみ……そちらのおっしゃる通り、民間人に被害が出ないという確認も取れましたので、遠慮なくやらせて頂きます……」

通話相手に対し、女性は手榴弾が転がっている机の上に広げられた地図を確認しながらそう報告する。

『そうですか……本当に報酬は前払いじゃなくて良かったのですか?』

「えぇ、報酬は依頼を無事に達成してから……それがわが社の経営方針です。」

『そうですか……』

ガシャコッ!!

女性と通話相手がそう言葉を交わすなか、同室にいた一人の女性がH&Kにサイレンサーを取り付けたり、二人の少女がMKGやショットガンの手入れを始める。

『それでは、よろしくお願いします。』

「はい………」










「私達、『便利屋68』にお任せ下さい。」

次の瞬間、女性は不敵な笑みを浮かべながらそう言った。
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