復活の歌姫

ガキィィィンッ!!ガキィィィンッ!!

その頃、夜中の暗い草原が再現された電脳空間にて、何度も火花が散る。

「フッ!!」

黒いインナースーツの上に裾が膝までの紅い着物を着て、腰回りに黒い防具を、頭に『彼岸花』を模したアクセサリーを着けたアバター姿の千景が右手に握った刀で相手を一文字斬りしようとする。

「おっとっ!!」

ガキィィィンッ!!

対する黒ずくめのロングコートのアバターの剣士は左手の剣で千景の刀を受け止める。

(ここっ!!)

千景はそう思いながら、左手に握ったもう一本の刀で突きを放とうとする。

「甘いな。」

「ッ!?」

が、剣士はそう言いながら右手に握ったもう一本の剣でカウンターの逆袈裟斬ぎゃくけさぎりを放とうとする。

「くっ……!!」

千景はすぐさま攻撃を止め、バックステップで剣士のカウンターを回避しながら距離を取る。

が、僅かに髪の毛が何本か切れ、二人の間に舞う。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ………!!」

「反応速度がかなり上がっているな………出会った頃とは大違いだ。」

「ッ、姉さんにも鍛えられてますから………それでもまだ、貴方には届かないです。『キリト』さん。」

「ははっ、そう簡単に抜かれる訳にはいかないからな。」

息を切らしながらそう言う千景に対し、剣士・・・キリトは軽く笑いながらそう言う。

「さぁ来い………『二刀流』を覚えるんだろ?」

「えぇ。英雄キリトの剣技、学ばせてもらうわ………!!」

そう言いながら二振りの剣、ダークリパルサーとエリュシデータを構える英雄、黒の剣士キリトに対し、千景はそう言いながら向かっていく。

そうして電脳空間でも夜が更けていった。
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