復活の歌姫

「凄い凄いっ!!」パチパチ

カランカラーン♪

「やぁ、千束ちゃん。今日は随分とご機嫌だね。」

梨紗の歌声に千束がそう言いながら拍手するなか、吉松がそう言いながら来店してくる。

「あ!ヨシさん、いらっしゃいっ!!今ね、梨紗姉が鳴護アリサさんの歌を歌ってたのっ!!」

「っ、千束っ…!!」

「おやおや、そうなのかい……それは是非とも聞いてみたいね。」

千束が純粋な笑顔でそう言うなか、吉松は妖しげな笑みでそう言いながら梨紗の方を見る。

「ッ!?」

(なんなの、この纏わりつくような感じ………悪意でも、敵意でもない………何なの!?この人………っ!!?)

『続きましては、風鳴翼さんも好きな名曲、『明日、晴れるかな?』です。』

♪~♪~

「あ。次の曲が始まるそうですよ。」

吉松の視線に梨紗がそう思いながら困惑するなか、次の曲が流れ始める。

「梨紗姉、おねがぁーいっ!!」

「………」

「……はぁ……わかったわよ………」

吉松からの視線を気にしながらも、千束や他の面々からの期待に応えるため、梨紗は次の曲に集中することにする。

『明日、晴れるかな 空を見る
満天の星たち煌めく
手を伸ばしたら届きそうだね と
笑い合ったら ふたり
また歩き出す』

「本当はね ひとりの夜が
不安でメールをしたの
たくさんの夢とか 理想の中に
自分が埋もれそうで」

「おぉっ!!」

「ほぅ……」

『いつかは この街を出て
大人になってくことを
想像してみたら 心細くて
君の顔浮かんだ』

「いつも何気ないことで
気持ち分けあえる二人
今から迎えに行くよ と 君の声」

千束と吉松がそう声を上げるなか、梨紗はTVから流れる曲に合わせながら歌を紡いでいく。

「……風鳴さんの気持ちがわかる気がします………人は、気持ちを分けあえる……」

「だねぇ~♪」

『「明日、晴れるかな 空を見る
満天の星たち煌めく
手を伸ばしたら届きそうだね と
笑い合ったら ふたり
また歩き出す」』

たきなと千束がそう言うなか、梨紗はTVから流れる『鳴護アリサ』の歌声に合わせながら歌いきる。

パチパチ

「ブラボー、梨紗君。素晴らしい歌声だったよ。」

「あ、ありがとう、ございます……」

その後、拍手しながらそう言う吉松に対し、梨紗は恐縮しながらそう言った。
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