花の確執

キルハウスブース内・・・

「くっ……おまえ、模擬戦なんだぞ。後ろから撃てば良いのに、派手に突っ込んでぶん殴るとか馬鹿げてる……っ!!」

敗北したフキは立ち上がりながら、そうたきなに文句を言う。

「………」

「あ?」

それ・・、よく効きますよ。」

対するたきなはそう言いながら、一枚の湿布を手渡す。

「これでおあいこ・・・・ですね?」

「ッ!やっぱり気に入らない奴だよっ!おまえはっ!!」

以前、自分が殴った左頬を指差しながら不敵な笑みでそう言うたきなに対し、フキはそう言いながら背を向けて歩き出す。

「たくっ……千束と梨紗の悪い所・・・まで似やがって………」

「えっと………」

「「?」」

「……さっきは失礼な態度と生意気なこと言ってすいませんでした………」

フキがぶつぶつとそう言いながらキルハウスブースを出ていくなか、サクラは改めて頭を下げながらそう二人に謝罪する。

「え?」

「けどっ!二人とも、次は負けないっす!!」

思わず呆けた声を上げるたきなを他所に、サクラはそう宣言しながらフキの後を追って出ていった。

「………」

「………」

「……“千束”。一体何をしたんですか?」

「ちょいちょいちょい!?今のは私が聞きたいくらいなんだけど!!?」

「何処か頭を打つようなことをしたんですか?」

「いやいや!確かに蹴りはしたし、精神的にちょっとくるようなことはしたけどさっ!あんなんでああなる訳……ん?たきな。今、何て言った?」

「?『何処か頭を打つようなことをしたんですか?』」

「その前。」

「……千束」

「初めて呼び捨てで呼んでもらえたっ!!」

たきなの自分に対する呼び方が変わり、距離が縮まったことを実感した千束は嬉しそうにそう言う。

「はぁ……あ。そういえば、ここに来る前、梨紗さんからメールが来まして………」

「?」

女子トイレ・・・

ジャー………

「……すいませんでした。自分が生意気なことを言ったばかりか、狙いが甘かったせいで先輩にまで恥掻かせちゃって………」

女子トイレの手洗い場で顔を洗いながら、サクラは若干落ちこみながらそう謝罪する。

「……むし避け易かった・・・・・・んだよ……おまえの射撃は正確・・だからな………」

対するフキはそうフォローしながら、殴られた左頬に受け取った湿布を貼る。

「うぇっ!?あの人、タマけてたんすか!?そういうの漫画とかアニメとかの中だけの話っすよねっ!!?」

それ・・ができるのが千束アイツなんだよ……同じ芸当・・ができる化け物・・・が後四人いるけどな………」

フキはそう言いながら女子トイレから出ようとする。

ピロン

「ん?」

その瞬間、フキのスマホにメールが届く。

「梨紗から……『顔を洗い終わったら、サクラを連れて、第三屋外演習場の管制室に来なさい。』……命令かよ………」

「?」
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