花の確執

管制室・・・

「姉さん、今のは……」

「……千束の動きを読んだ射撃。至近距離で反応できる千束だから、敢えて射線が被った状態で撃った………」

「錦木さんは最小限の動きで回避し、後ろにいる相手は反応できずに命中する………」

「二人が互いの持ち味を理解しなければ、できない連携よ。」

模擬戦に勝利した後、千束がたきなに笑顔でそう言うなか、管制室で千景と梨紗はそう話をする。

「あの……司令。私は千束の動きを見たのは初めてなんですが……彼女は一体どのような魔術を?」

「もしかして……来弥さんの言うように『矢避けの加護』が?」

そんななか、秘書とひなたがそう楠木に尋ねる。

「そんなものは存在しない。千束ヤツは類い稀な洞察力で相手の射線と射撃タイミングを見抜く―――『天才』だ。」

対する楠木はそう説明しながら隣にいる秘書に向けて、指鉄砲を構える。

この距離・・・・でも、千束ヤツに当てるのは難しい………」

「「「「!?」」」」

そう言う楠木の言葉に秘書とひなた、聞いていたエリカとヒバナの四人は驚愕の表情を浮かべる。

「もっとも……それ・・を成せる『天才』を一人、知っているがな……」

「………」

そんな四人を他所に楠木は梨紗を見ながらそう言う。

「ふぅーん……そんな子・・・・がいるのね。」

「……『鷹の眼・・・』と呼ばれる奴以上の者などいない………」

「………そう言ってくれるのは嬉しいけど、私も千束あの子に当てるイメージをするのは難しいわ。」

「……千束あちらも全く同じことを言うだろうな………」

「とにかく、あの二人も頑張ったんだから、私達も換気・・を頑張らないとね……行くわよ。千景、イチカ、来弥。」

「はい、姉さん。」

「了解ッス。」

「了解です。」

楠木とそう言葉を交わした後、梨紗はそう言いながら三人を伴って第三屋外演習場に向かおうとする。

「「?」」

「……貴女達も第三屋外演習場の管制室にいらっしゃい。ウィングチームの実力、見せてあげる。」

事情を知らずに首を傾げるエリカとヒバナに対し、梨紗は不敵に微笑みながらそう声を掛ける。

そんな梨紗に追従する他の三人も同じように微笑んでいた。
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