花の確執

キルハウスブース内・・・

「戦いの最中で敵と呑気にお喋りかよ……」

「そぉいっ!!」

ドカァァンッ!!

物陰に潜むサクラがそう毒吐どくづくなか、千束は先程、フキが盾にしたドアを思いきり蹴り壊しながら先へと進んでいく。

管制室・・・

「……ドアは壊しても大丈夫なんですか?」

「問題ない。リコリスは時として、ああして中にいる凶悪犯を捕縛することもあるからな……彼処あそこにあるドアはそれを想定して設置されている。」

千束に壊されたドアを見ながらそう尋ねるひなたに対し、楠木司令は冷静にそう説明する。

キルハウスブース内・・・

射撃場でさっきのことは後で謝りはするっすけど、模擬戦は模擬戦……だから、恨まないで下さいっすよっ!!」

パァンッ!パァンッ!!

サクラはそう言いながら物陰から飛び出し、正面から駆けてくる千束に向かって二発発砲する。

「………」

が、千束はフキのように高速移動する訳でもなく、駆ける速度をそのままに最小限の動きだけでそのペイント弾をかわす。

「はっ!?」

管制室・・・

「なっ!?」

それを見たサクラと管制室にいるひなたはほぼ同時に困惑の声を上げる。

「……前から思ってたけれど、射撃に対して、異常な反応速度ね。」

「アレが千束先輩がファーストたる所以ゆえんッスよね。」

「『矢避けの加護』でも持ってるんじゃないですかね?あの人……」

千景がそう呟くなか、イチカと来弥は苦笑いしながらそう言った。

キルハウスブース内・・・

「なっ……!?」

パァンッ!パパァンッ!!

「………」

「なんなんだよっ!?こいつっ!!」

パパァンッ!パパァンッ!!

サクラは困惑しながら何発も発砲する。

その射撃はどれも正確ではある。

「………」

が、どれも千束には当たらず、後方にある壁の色を塗料で塗り潰していく。

(どうなってんすかっ!?これっ!!)

まるで弾の方が避けていく・・・・・・・・・かのような光景にサクラが困惑するなか、千束はとうとう目の前まで迫る。

「あっ……!?」

「なかなか良い腕してる。」

次の瞬間、千束はサクラのグロックを握っている手を軽く押さえながら、新生デトニクスの銃口でサクラの右頬を軽く小突く。

管制室・・・

「今ので“一回”、死んだわね。」

キルハウスブース内・・・

「ッ……この……ざけんなっ!!」

ドンッ!!

管制室で梨紗がそう言うなか、サクラはそう言いながら右肩で押し出しながら、グロックを握っている右腕を伸ばして撃とうとする。

「だぁーめ。こんな近くで腕を伸ばしたら……」

「あっ……!?」

ドカッ!!

「ぐっ!?」

が、千束はそう言いながら、サクラからグロックを奪い蹴り飛ばす。

「もう“二回”、死んでるよ?」

「ッ……」

パパァンッ!パァンッ!!

その直後、サクラの後方の物陰に潜んでいたフキが発砲する。

「うわっ……」

そのペイント弾を千束がかわしながら物陰に隠れる隙に、フキはサクラを回収する。

「なんなんすか?彼奴あいつ……嘗めやがって………っ!!」

「……待ってんだろ・・・・・・……」

サクラが軽くキレながらそう言うなか、フキはそう言いながらマガジンを交換する。

そういう奴・・・・・だ。」
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