花の確執

「たきながあの時、ああしなかったら……私は梨紗姉と再会できなかったし、なにより四人私達は出会えなかったよ?」

抱きしめた後、千束はそう言いながらたきなの手を取る。

「………」

(温かい……)

「(クスクス)何あれ?女の子同士で抱き合っちゃって……」

たきながその温もりを感じているなか、取り巻きを連れた井原がクスクスと嗤いながら遠巻きに馬鹿にする。

「ッ……」

そんな井原達にたきなは反論しようとする。

ガバッ!!

「うわっ!?」

「!?」

が、そんなたきなを千束が膝上辺りに腕を回して持ち上げるように抱き上げる。

「私は君と会えて・・・・・嬉しいっ!!」

「ちょ、ちょっと……」

「嬉しいっ!!嬉しいっ!!!」

次の瞬間、千束は笑顔でそう言いながら、見せつけるようにその場で何度も軽やかに回る。

「……は?」

井原がそう呆けた声を上げるなか、一通り回った千束はたきなを下ろす。

「………」

「誰かの期待に応えるために、悲しくなるなんてつまんないって♪」

下ろした後、千束は更に言葉を紡ぐ。

「『居場所・・・』はある。お店の皆との時間を試してみない?それでも本部ここが良ければ、戻ってきたらいい。」

「………」

「遅くない!
まだ途中・・だよ、チャンス・・・・は必ず来る!
その時、たきながしたいことを選べば良い・・・・・・・・・・・。」

「私が……したいこと……」

「ちっ!!」

二人の様子が面白くなかったのか、遠巻きに見ていた井原は舌打ちしながら取り巻きと共にその場を去っていく。

「………因みに私はいつもやりたいこと、最・優・先!まぁ、それで失敗することも多いけど……きっと梨紗姉達も同じ・・だと思う………」

その一部始終を横目で見届けた後、千束は笑顔でそう言う。

「とりあえず私は今、たきなにヒドイことを言ったフキとサクラアイツラをブチのめしたいのでぇ……ちょっと行ってきますよ……」

次の瞬間、千束は笑顔でそう言いながら、模擬戦が行われる『キルハウスブース』へと向かう。

その背中に静かな怒りをにじませながら……

「………」

ピロン♪

「あ。メール……梨紗さんから?」

その背中を見送った直後、たきなのスマホに一通のメールが届く。

「『千束の模擬戦が終わったら、一緒に第三屋外演習場の管制室に来るように』……?」
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