花の確執

「彼女に関しては以上だ。次の話だが、これにイチカ達も関わってくる。」

「私達もッスか?」

「実は四人にはチームを組んで、模擬戦をして貰いたい。」

「模擬戦、ねぇ……相手は?」

「おまえと入れ替えに入ってきた井原椿を始めとする、セカンドとサードを含めた12人だ。」

「なっ……!?」

司令さんから提示された模擬戦の相手の人数に思わず絶句してしまう。

さ、三倍じゃないですか…っ!?いくらなんでも無茶じゃ……っ!?

「大丈夫よ、ひなた。」

「ですが……」

「そうですよ。梨紗先輩とイチカ先輩が一緒なら余裕です。ニンニン。」

そんな私に対し、千景さんと来弥さんがそう言う。

「……『だからこそ』、ね……ひょっとしなくても、こっちが本命・・・・・・かしら?」

「……奴の勘違い・・・振りと傍若無人振りはいい加減目に余る……おまえの言う通り、そろそろ換気・・も必要だしな。」

「そう……模擬戦を引き受ける代わりと言ってはなんだけど………」

「なんだ?」

「たきなに会ってあげてほしい。」

「……おまえまで言うか……」

真剣な表情でそう言う梨紗さんに対し、司令さんは若干呆れた様子でそう言う。

「勘違いしないで、司令。私は千束あの子みたいに『たきなをDA本部ここに戻せ』と言っているんじゃない、ただ会ってあげてほしい・・・・・・・・・。」

「……会ったところで私は意見を変えるつもりはない。たきなの現状が変わるとも思えんが?」

「そうね……私達が模擬戦で悪役井原を叩いて、口車に乗せられた子達の目を覚まさせたところで、たきなあの子が『仲間が人質に取られている状況で危険な機銃掃射を行った』事実・・は変わらないわ。」

「ならば、尚更意味がないように思えるが?
おまえ達に模擬戦をさせるのは、『下らん噂で組織内の風紀を乱す井原馬鹿を黙らせる』のが目的だ。たきなの名誉を回復させようと思った訳じゃない。」

「……司令、貴女が思っている以上に、たきなあの子はまだ幼い。変に突き放すよりも、言葉でハッキリと伝えてあげた方があの子の『成長』に繋がるわ。」

梨紗さん……

「……そういうこと・・・・・・か……随分と買っているな、たきなのことも。」

「……あの子もまた大きく羽ばたける『翼』を持っている……巣立ち・・・させるにしろ、余計なもの・・・・・は落とした方が良い……」

「『余計なもの』か……相も変わらず千束以上に頭が切れる上に生意気な口振りだ………」

梨紗さんの言葉に柔らかな笑みを浮かべながら、司令さんはスクッと立ち上がる。

「良いだろう。但し、私は容赦はしないぞ?」

「えぇ、寧ろその方が丁度良いわ。」
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