花の確執

「……『梨紗姉』か……随分と奴に懐かれたものだな……」

「ちっ……」

え?梨紗さん、今………舌打ちしました?

「……喫茶店リコリコでの居心地はどうだ?」

私がそう思っているなか、司令さんが通路を歩きながらそう尋ねる。

「そうね………誰かさんが換気を怠ったせいで・・・・・・・・・・・・・・、すっかり空気が濁りきった・・・・・・・・DA本部ここよりは何十倍も空気が澄んでいて快適だわ。」

梨紗さん……そんなあからさまな……

「………だからこそ、おまえを呼んだんだがな……」

そんな梨紗さんに対し、司令さんはそう言いながら秘書さんと共に着いた部屋に入る。

私達五人も後に続いて部屋に入ります。

「さて、改めて報告してもらおうか……先ずは『巫女』についてだ。」

部屋に入った後、司令さんはそう言いながら奥の中央にある机の椅子に腰掛けました。

「私の独自のルートから得られた情報からは、彼女は『自然に対し、祈りで干渉できる』チカラを持っている。このチカラの限度は不明。
確認できているのは『廃墟に生い茂っていた蔦が独りでに動き道を開けた』ことだけ。」

「……本当にか?」

「えぇ、最後の部分は私と千景だけでなく、一緒にいた千束とたきなもその瞬間を直接見て確認しているわ。」

「そうか………確認するが、彼女を本部こちらに引き渡す気は」

「ない。」

「……即答か。」

「どうせ上の連中は保護の対価に能力実験をいるでしょ。だから、彼女は『私達』が保護する。」

梨紗さん……

「ふぅ……まぁいい。私も人体実験など趣味ではないしな……本来なら彼女を学校に通わせる手続き等をすべきだろうが、彼女自身の能力のこともそうだが、くだんの地下研究施設を保有していた謎の組織が彼女を狙う可能性がある………」

「そうね……彼女はどうも教養があるみたいだし、『私達』の目が届く範囲に置いた方が彼女を護れるのは勿論、周りに及ぶ被害も防げると思うわ。」

「なら、DAこちらは彼女が無理に学校に通わずに済むように根回しをしておく。」

「そう……それはありがとうって言っておくわ。」

「但し、リコリスではないからな……彼女自身にその気・・・があるなら話は別だが………」

「それは……ちょっと………」

そう言いながらこちらを見る司令さんに対し、私は思わず目を反らしながらそう言う。

梨紗さん、千景さん。そんな怖い顔で司令さんを見ないで下さい。お願いします。

「……彼女は殺し屋リコリスには向いてないわよ?」

「わかっている……先程、言った通り、根回しはするが、『後見人』はそちら・・・でどうにかしろ……それくらいの当て・・はあるだろう?」

「そうね……わかったわ……」
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