花の確執

「……大方おおかた、健康診断と体力測定を受けてる千束の様子を見に行ったんでしょうね……ありがとう。行くわよ、二人とも。」

「はい、姉さん。」

「は、はいっ!!」

「あ。自分らも行くッスよ。」

そうして私達五人は医療棟の休憩室へと向かう。

「たきな、なんで追い出したんですか?」

「命令違反だ。聞いているだろう?」

「けど、仲間を救ったっ!!」

歩いて少しすると、誰かと言い争う千束さんの声が聞こえてきました。

「?」

「?なんかトラブルッスかね?」

「………」

「……あの子は……」

来弥さんとイチカさんが首を傾げるなか、千景さんと梨紗さんが頭を抱える。

「その結果、1000丁の銃の行方は未だ不明だ……商人達は殺してはいけなかった……」

「え、え~と……」

なんか物騒な単語が聞こえた気がするんですが……

「………大丈夫よ………多分………」

多分……ですか……

そう思いながら梨紗さん達と共に目的地である休憩室に着くと、先程の制服とは違う服に着替えた千束が赤いきのこ頭に白いスーツを着た中年女性に携帯スマホの画面を突きつけていました。

写真コレ、見たでしょ?」

「おい。千束……」

「取り引き時間を間違えてた司令部のせいですぅ~っ!楠木さんにだって責任あるでしょっ!?」

楠木って確か司令さんの……あの方がそうなんでしょうか?

「……他人の処遇を気にする前にリコリスとしての使命を果たしてほしいものだがな……遊び・・でおまえにライセンスを渡している訳じゃないんだぞ。」

「あ~、誤魔化したぁ~~っ!!」

「やめろっ!!」ガッ!!

私がそう思いながら梨紗さん達と共に物陰から様子を見ているなか、司令さんに食ってかかる千束さんを、おでこが開いた濃い茶髪の女性がそう言いながら肩を掴んで止めようとする。

パシッ!!

「だいたいっ!あの時、状況判断ができてなかった現場リーダーにも責任はあると思いますぅっ!!」

が、千束さんはその手を払いのけながら強い口調で今度はその女性をまくし立てる。

千束さん、なんかヒートアップしてませんっ!?

「ッ……仕方ねぇだろっ!あの時は通信障害で司令部と連絡が取れなかった」

「フキ。」

「ッ!?」

司令さんの静かな声に女性、フキさんはハッとした表情になる。

………通信障害?

「……通信障害ぃ~?」

「………」

「……フキ……」

「え?マジッスか?今の話……」

「だとしたら、取り引き時間が誤情報だったこと以上にマズいですよ……」

フキさんが漏らした『通信障害』という単語に梨紗さんが頭を抱えるなか、イチカさんと来弥さんが明らかに動揺する。

?どういうことでしょうか……?

「………」

「……『ラジアータ』でモニタリングされてる作戦中に通信障害なんて普通じゃないでしょ?」

「?ラジアータ?」

「はぁ……隠しても仕方ないから説明はするけど、DAの情報を管理するAIの名前よ。同時に世間に対しての情報操作による隠蔽いんぺいにも一役買ってるわ。」

千束さんが真剣な表情で司令さんに詰め寄るなか、首を傾げる私に千景さんがため息混じりにそう説明してくれる。

「ただの技術的トラブルだ。」

「いやいや楠木さん………ラジアータがクラックされる・・・・・・・・・・・・・なんてヤバすぎでしょっ!?」

クラック………ハッキングされたってことですか!?

「何を言っているのか、さっぱりわからんな。」

「楠木さんっ!!」

「やめろっ!千束っ!!」
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