花の確執

DA本部内、エントランス・・・

「錦木さんは体力測定ですので隣の医療棟へ。」

「はぁ~い。」

「鳴護さんと郡さん、上里様の三名は司令からの会談の呼び出しとのことですが司令は現在、会議が長引いてしまい三〇分程遅れるとのことです。会議が終わり次第こちらからお声掛けしますのでもう暫くお待ち下さい。」

「わかったわ。」

その後の顔認証やバーコード認証で玄関ゲートを通った私達は今、エントランスにある受付で案内を受けています。

「井ノ上さんは……」

「あの……司令にお会いしたいのですが……」

「申し訳ございません。先程、申し上げました通り、司令は現在会議中でその後も鳴護さん方との会談の予定もございまして……」

「っ………」

「……梨紗姉ぇ~?」

「はぁ……わかったわよ。流石に会談に同席はさせられないけど、会談それが終わったら会ってもらえるように掛け合う……それで良い?」

「流石梨紗姉!話が早くて助かる!!」

「はい。ありがとうございます。」

ため息混じりにそう提案する梨紗さんに対し、千束さんとたきなさんはそう言う。

「ねぇ、あの子でしょ?噂の“味方殺し”………」

そんななか、そんな声が聞こえてくる。

……なんでしょう。この嫌な感じは……

「聞いた聞いた。噂じゃ『組んだ子は皆、病院送り』なんでしょ。」

「おぉ…怖い怖い……」

「命令違反したんだって。」

「えぇ~?なんでそんなことするのぉ?」

よく見ると、周りにいるベージュや、千景さんやたきなさんと同じ蒼い制服を着た何人かがひそひそ声でそう話しているのが目に入る。

「………」

「なんだぁ?彼奴あいつら……」

それを見て、千景さんは視線を鋭くし、千束さんは明らかに不機嫌になりながら文句を言おうとする。

めなさい。千束。千景も。」

「梨紗姉……」

「あの手のやからは口で文句を言ったところで焼け石に水よ。」

が、梨紗さんが冷静にそう言って止める。

それはそうなんですけど……

「それはそうなんだけどぉ……っ!!」

「……訓練場に行ってきます。」

「あっ……!?」

そんななか、たきなさんはそう言いながら走り去って行ってしまいました。

「たきな………」

「気持ちはわかるけど、貴女はこれから健康診断と体力測定でしょ?早く行ってきなさい。」

「う、うん……」

千束さんも梨紗さんに促される形で医療棟へと行ってしまいました。
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