花の確執
「ってことはもう暇でしょ~?」
「たきなちゃんもおいでよ。」
「どうだぁ~?たきな。」
たきなさんの仕事の速さに私がそう思っているなか、伊藤さんと北村さん、クルミちゃんの三人がそう言って誘う。
「いえ。結構です。」
対するたきなさんはそう言いながら、奥の更衣室へと行ってしまう。
あの生真面目な感じ、若葉ちゃんを思い出しますね。
「おじさん、多すぎなのかな?」
「恥ずかしいのよ、お年頃。」
「お店で遊ぶのがおかしいんだけどねぇ……」
「そうかぁ~?」
「ひなたも着替えてきたら?貴女も仕事終わりでしょ?」
そういえば、千景さんはいつの間にか制服だけど、私は店の制服として用意された巫女服のままでした。
「それじゃあ、私も着替えてきますね。」
「待ってるよぉ~。」
そうして私も更衣室へと向かう。
「混ざってきたら?息抜きくらいにはなるわよ。」
すると、更衣室前で既に制服姿の梨紗さんが腕組みしながら、そうたきなさんに声を掛けていました。
「……そうしたら、DAに戻れますか?」
「………」
「ねぇ~、たきな。」
そんななか、私の後からきた千束さんがそう声を掛けてくる。
「……なんです?」
「一緒にゲームやろ?ね?」
怪訝な表情でそう言うたきなさんに対し、千束さんは再度誘う。
「……もう帰るので。」
「あ。じゃあ明日は?」
「明日は定休日ですよ…着替えるので。」
たきなさんはそう言いながら、ピシャッと更衣室の扉を閉めてしまう。
……手強いですね……
「……たきなは相変わらず固いな……」
「娯楽、というより『楽しむ』という感情を知らないんでしょうね。あの子……」
そんななか、いつの間にか近くにいた店長さんの言葉に、梨紗さんはため息混じりにそう言う。
それは正直、悲しいですね……
「梨紗は参加しないのか?」
「私は良いわ。カウンターで眺めながらマスターと談笑するだけで十分だもの。」
「おまえなぁ………まぁいい。それより千束。」
「ん?」
「健康診断と体力測定は済ませたのか?」
「え?まだだけど……あんな山奥に行くのはめんどいし………」
本当に面倒臭いんだろうか、そう尋ねる店長さんに対し、千束さんは嫌そうな表情でそう答える。
「確か明日が最終日じゃなかった?
私と千景はもう済ませてるけど………」
「ライセンス の更新には必要なことだ。
仕事 を続けたければ、行ってきなさい。」
ライセンス……『リコリス』としてのもののことでしょうか……
この一月 の間に千景さんや梨紗さんから説明はされましたが千束さん、たきなさん、梨紗さん、そして千景さんの四人は裏 では『リコリス』と呼ばれていて、日本 の治安を護るための秘密の組織、『DA』のエージェントらしい。
リコリコ も表向きは喫茶店ですが、実態はDAから独立した支部の一つで管理者である店長さんと同じくらいの古株である千束さんが中心になって活動しているのだとか……
まぁ、活動と言いましても普段は喫茶店のお仕事の傍ら、コーヒー豆の配達や地域の保育園や日本語学校のお手伝いといったものが主な活動内容らしいのですが……
本部や他の支部はどうなのかわかりませんが、私はリコリコ の方が前世 の『丸亀城 』みたいで落ち着きます。
「あ。そういえば、ひなた。」
「?はい?」
「明日、貴女を連れてくるように楠木司令から言われてるからちょっと付き合ってくれる?
千景も一緒だから。」
…………はい?
「という訳だから、私達と一緒に行くわよ。千束。」
「えぇ~、そこは先生が上手いことやってよ。先生の頼みなら聞くでしょ。楠木さん。」
突然のことに固まる私を他所にそう言う梨紗さんからの誘いを、千束さんは子どもみたいに駄々をこねながら拒否の意を示す。
ガラッ!!
「司令と会うんですか?」
そんななか、更衣室の扉を開けながら、たきなさんがそう尋ねてくる。
………下着姿で………
「うおぅっ!?バカッ!服ぅっ!!」
ピシャッ!!
千束さんは慌てながら、そう言いながら扉を閉める。
「あの子は………」
「………」
梨紗さんは軽く頭を抱え、店長さんは目を背けている。
ガラッ!!
「私も一緒に連れてって下さい。」
「はやっ!?」
次の瞬間、ちゃんと制服に着替えたたきなさんが扉を開けながらそう頼み込んでくる。
「お願いします……」
「たきな……」
「たきなさん……」
続けて、たきなさんは深々と頭を下げながらそう頼み込む。
「……何故、司令に会いたい?何を話したい?それが言えなければ、私は連れていく気はない。」
「ちょっ、梨紗姉ぇ~。」
「っ………」
「え、え~と……」
「ほらっ、ひなたも早く着替えてきなさい。皆を待たせてるわよ。」
「は、はい……」
たきなさん……本部に戻りたいのでしょうか………
先程のたきなさんのことを考えながら、更衣室に入った私は着替えを始めた。
「たきなちゃんもおいでよ。」
「どうだぁ~?たきな。」
たきなさんの仕事の速さに私がそう思っているなか、伊藤さんと北村さん、クルミちゃんの三人がそう言って誘う。
「いえ。結構です。」
対するたきなさんはそう言いながら、奥の更衣室へと行ってしまう。
あの生真面目な感じ、若葉ちゃんを思い出しますね。
「おじさん、多すぎなのかな?」
「恥ずかしいのよ、お年頃。」
「お店で遊ぶのがおかしいんだけどねぇ……」
「そうかぁ~?」
「ひなたも着替えてきたら?貴女も仕事終わりでしょ?」
そういえば、千景さんはいつの間にか制服だけど、私は店の制服として用意された巫女服のままでした。
「それじゃあ、私も着替えてきますね。」
「待ってるよぉ~。」
そうして私も更衣室へと向かう。
「混ざってきたら?息抜きくらいにはなるわよ。」
すると、更衣室前で既に制服姿の梨紗さんが腕組みしながら、そうたきなさんに声を掛けていました。
「……そうしたら、DAに戻れますか?」
「………」
「ねぇ~、たきな。」
そんななか、私の後からきた千束さんがそう声を掛けてくる。
「……なんです?」
「一緒にゲームやろ?ね?」
怪訝な表情でそう言うたきなさんに対し、千束さんは再度誘う。
「……もう帰るので。」
「あ。じゃあ明日は?」
「明日は定休日ですよ…着替えるので。」
たきなさんはそう言いながら、ピシャッと更衣室の扉を閉めてしまう。
……手強いですね……
「……たきなは相変わらず固いな……」
「娯楽、というより『楽しむ』という感情を知らないんでしょうね。あの子……」
そんななか、いつの間にか近くにいた店長さんの言葉に、梨紗さんはため息混じりにそう言う。
それは正直、悲しいですね……
「梨紗は参加しないのか?」
「私は良いわ。カウンターで眺めながらマスターと談笑するだけで十分だもの。」
「おまえなぁ………まぁいい。それより千束。」
「ん?」
「健康診断と体力測定は済ませたのか?」
「え?まだだけど……あんな山奥に行くのはめんどいし………」
本当に面倒臭いんだろうか、そう尋ねる店長さんに対し、千束さんは嫌そうな表情でそう答える。
「確か明日が最終日じゃなかった?
私と千景はもう済ませてるけど………」
「
ライセンス……『リコリス』としてのもののことでしょうか……
この
まぁ、活動と言いましても普段は喫茶店のお仕事の傍ら、コーヒー豆の配達や地域の保育園や日本語学校のお手伝いといったものが主な活動内容らしいのですが……
本部や他の支部はどうなのかわかりませんが、私は
「あ。そういえば、ひなた。」
「?はい?」
「明日、貴女を連れてくるように楠木司令から言われてるからちょっと付き合ってくれる?
千景も一緒だから。」
…………はい?
「という訳だから、私達と一緒に行くわよ。千束。」
「えぇ~、そこは先生が上手いことやってよ。先生の頼みなら聞くでしょ。楠木さん。」
突然のことに固まる私を他所にそう言う梨紗さんからの誘いを、千束さんは子どもみたいに駄々をこねながら拒否の意を示す。
ガラッ!!
「司令と会うんですか?」
そんななか、更衣室の扉を開けながら、たきなさんがそう尋ねてくる。
………下着姿で………
「うおぅっ!?バカッ!服ぅっ!!」
ピシャッ!!
千束さんは慌てながら、そう言いながら扉を閉める。
「あの子は………」
「………」
梨紗さんは軽く頭を抱え、店長さんは目を背けている。
ガラッ!!
「私も一緒に連れてって下さい。」
「はやっ!?」
次の瞬間、ちゃんと制服に着替えたたきなさんが扉を開けながらそう頼み込んでくる。
「お願いします……」
「たきな……」
「たきなさん……」
続けて、たきなさんは深々と頭を下げながらそう頼み込む。
「……何故、司令に会いたい?何を話したい?それが言えなければ、私は連れていく気はない。」
「ちょっ、梨紗姉ぇ~。」
「っ………」
「え、え~と……」
「ほらっ、ひなたも早く着替えてきなさい。皆を待たせてるわよ。」
「は、はい……」
たきなさん……本部に戻りたいのでしょうか………
先程のたきなさんのことを考えながら、更衣室に入った私は着替えを始めた。