間章・備えと思惑

ノア&アコside

キキィ……ッ!!

矢車との協定締結から更に数日後の昼頃、『喫茶店 リコリコ』の近くの駐車場に一台の白いシボレー・ブレイザーが停車する。

ガチャッ!!

彼処あそこですか?ノアさん。」

「はい。『喫茶店 リコリコ』……表向きは普通の喫茶店ですが、実態は錦木千束のためにDAから独立した支部です。」

運転席から降りながらそう尋ねるアコに対し、助手席に座っていたノアがそう答えながら降りる。

「彼処にリーダーと千景さん達がいるのですね……」

「梨紗姉さん曰く、『『組織』を追うには『DA本部』よりも都合が良い支部ばしょ』らしいです。」

「なるほど……」

「では、参りましょうか。届けなければならないものも幾つかありますし、他の客がいないのも確認してありますから……」

「えぇ……」

そう言うノアにそう返事しながら、アコは後部座席に乗せていた大きめのカバンを肩に担ぐ。

そうして二人はリコリコへと足を向ける。

カランカラーン♪

「いらっしゃいませぇ~♪」

「こんにちは。一応はじめまして……ですかね?」

リコリコに入った後、笑顔でそう言いながら迎える千束に対し、ノアは軽く首を傾げながらそう言う。

「え!?もしかして……ノアちゃんっ!?」

「はい。生塩ノアです。直接お会いするのは初めてですね。」

若干困惑しながらそう言う千束に対し、ノアは愛想笑いを浮かべながらそう言う。

「遊びに来てくれたんだねぇ~♪」

「あぁ、いえ、今日はこちらに『お届けもの』があったので……梨紗姉さんはいますか?」

「うん!いるよ!ちょっと待っててね!!」

「?千束。」

「どうかしましたか?」

そう言いながら奥へ向かおうとする千束に対し、奥から出てきたミカとたきながそう尋ねてくる。

「あ!先生!たきな!前に話してたノアちゃんが来てくれたんだっ!!」

「はじめまして。生塩ノアです。」

「天雨アコです。よろしくお願いします。」

「あぁ、君達が……」

「なっ!?なんて破廉恥なっ!?」

「ちょいちょいっ、たきなぁ~。そんなはっきりと言ってやるなよ……」

ノアと共に挨拶するアコにミカがそう言いながら固まるなか、思わずそう言うたきなに千束は苦笑いしながらそう言う。

「はあぁぁぁあっ!?私のどこが破廉恥ですかっ!?」

「自覚ないのっ!?」

「あはは……いつものことなので気にしないで下さい……」

「ノアさんっ!!」

「……おほんっ、一応確認だが、二人はここがどういう所・・・・・かわかって来ているのかな?」

若干白目になりながらそう言うノアにアコがそう言うなか、ミカは軽く咳払いしながらそう尋ねる。

なるべくアコの方は見ないようにしながら……

「はい。そちらのリコリスのお二人やリリベルは勿論、DAの持つ情報も把握してあります。」

「ほぼ全部、バレてんじゃねぇかっ!!」

「………」

とても良い笑顔でそう答えるノアにカウンターで酒盛りしていたミズキがそう声を上げ、ミカは米神を押さえながら頭を抱える。

「どうかしましたか?ミズキさん。」

そんななか、二階のイートインスペースにいた梨紗がそう言いながら、千景とひなたと共に降りてくる。

「梨紗姉さんっ!!」

「リーダー!お久しぶりですっ!!」

「ノアにアコ……二人とも、こうして会うのは久しぶりね。」

「はい。通信では何度も連絡を取り合ってますが、こうして会うのは二月一二日以来です。」

「なかなかこちらには来れませんしね。」

「そう……とりあえず二人とも、座ってコーヒーでも飲む?マスターが淹れるコーヒーは美味しいわよ。」

「そうですね……」

「リーダーが認める程でしたら、期待できそうですね。」

梨紗にそう薦められた二人はそう言いながらカウンター席に座る。

「……梨紗。」

「大丈夫です、マスター。彼女達は元は亡き父の研究所の関係者で信頼できます。」

自身もカウンター席に座った後、真剣な表情でそう話しかけてくるミカに対し、梨紗は冷静にそう言った。
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