間章・備えと思惑

ブラッディーリーフside

「申し訳ございません。リボンズ様……巫女の奪還は失敗しました………」

地下研究施設での千景との一騎討ちから離脱した翌日、都内にある某ビルの一室にて、ブラッディーリーフは片膝を着きながらそう報告する。

「構わないよ。昨日さくじつのアレは色々とトラブルが重なってしまっていたからね……」

「………」

「僕達の目指す『楽園』への『鍵』の候補だった巫女を失ったのは残念だが、幸いデータは『本部』に転送済みで優秀な君も無事に離脱してくれた……実に喜ばしいことだ。」

「ありがとうございます。」

「しかし、武器かたなを失くしたのは少し痛いかな……」

「ッ………」

リボンズにそう指摘されたブラッディーリーフは表情を歪めながら、左腰に挿してある凶星を見る。

「安心したまえ。あのリコリス・・・・とのことを含む、君のこれまでの戦闘データはバイザーを通して、十二分に採れている……それを元により良い『刀』を製造するよう、僕から『技術部』に進言しよう。」

「ありがとうございます。」

「それと……実は今、新しい『強化プラン』の話が挙がっててね。その被検体になる気はないかい?」

「?新しい強化プラン……ですか?」

リボンズが口にした『新たな強化プラン』という単語にブラッディーリーフは首を傾げながらそう尋ねる。

「フフ……君は感じた筈だ。あのリコリスの『進化の可能性』を………」

「ッ!?」

リボンズに耳元でそう囁かされて、ブラッディーリーフは思い起こす。

一騎討ちの際、千景CシャドウソードCHGけんに宿った青白い光と急激な加速を……

「安心したまえ。
相手が進化するなら・・・・・・・・・君も進化すれば良い・・・・・・・・・………」

「………」

リボンズにそう囁かされたブラッディーリーフは何かを決意したような表情を浮かべる。

それを横目で見たリボンズは妖しい笑みを浮かべた。
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