命の重さと確執と・・・

「ーーーっていう感じで彼女は今、私と千景のセーフティーハウスで居候させながら、店の切り盛りを手伝ってもらっているわ。」

「そうだったのか……」

「あ!大事なことを忘れるところだったっ!!」

「ん?」

「千束さん?」

ひなたの現在の処遇について、梨紗がそう説明するなか、千束がそう言いながら立ち上がる。

「「!?」」

「………」

次の瞬間、千束は矢車と影山の近くまで来るや否や深々と頭を下げる。

「!?千束さんっ!?いきなり何を……っ!?」

千束の突然の行動にたきなはそう言いながら、頭を上げさせようとする。

が、梨紗に肩を掴まれる形で止められてしまう。

「……ごめんなさい。B班の人達、助けられなかった………」

次の瞬間、千束は頭を下げたまま、消え入りそうな声でそう謝罪する。

「いや、謝らなくて良い。皆、危険な任務だとわかっていた。命を落とす覚悟は、できていた筈だからな………」

「……うん………」

「……そういえば、マスターの元教え子だって言ってたけど二人は今、幾つなの?」

何とも言えない空気が流れるなか、梨紗がそう矢車と影山にそう尋ねる。

「俺は18、影山は16だ。」

「へぇ~!じゃあ、想さんは梨紗姉と同い年なんだ!!」

「……想さん・・・?」

「………」

(想さん……)

「え~と……あ!最新兵器の回収、いや、追跡任務に関してはリリベルは今後も続けることになりました。」

千束の矢車に対する呼び方にまた微妙な空気が流れるなか、影山がそう報告する。

「あら。あんな目・・・・に遭ったのに懲りないのね。」

「ちょいちょい!?梨紗姉、そんな言い方……」

「……リリベルおれたちにも面子めんつがあるからな……なにより『上』が退くことを許さない………」

「ちっ!!」

多くのリリベルが犠牲になっているにも関わらず、G装備への追跡を止めようとしないリリベル司令や上層部の姿勢に梨紗は舌打ちする。

「なら、矢車。その命令を受けたらこちらにも連絡して頂戴。すぐに破壊に向かうから。」

「元よりそのつもりだ。俺達自身はもうあんな犠牲は御免だからな。」

矢車はそう言いながら立ち上がり、梨紗に手を差し出す。

「……マスターの元教え子だからってこともあるんでしょうけど、好戦的や嗜虐的な輩が多いリリベルにしてはまともに話がわかる奴で助かるわね。」

「『好戦的や嗜虐的』っていうのは余計なお世話だ。あんな『完全パーフェクト調和ハーモニー』を乱すだけの兵器もん………『上』の命令でも手を出すべき代物じゃない……」

軽く皮肉を言いながら立ち上がる梨紗に対し、矢車は真剣な表情でそう言う。

「……そうね。お互いにこれ以上の被害を出さないためにも、これからはよろしく。」

「あぁ……」

そうして二人は握手を交わし、『最新兵器G装備の破壊』という共通認識の元、『喫茶店リコリコ』とリリベルの矢車隊の間で協定が結ばれた。
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