命の重さと確執と・・・

~~~回想~~~

ブロロロ……ガチャッ!!

時を遡り数日前、DAのヘリポートで梨紗や千束達と別れた千景とひなたの二人の元に一台のトレーラーが走ってきて、運転席と助手席から赤と白、黒の三色の制服を着た黒髪の小太りの男性と横乳が見える大胆な格好をした青髪の少女が降りてくる。

「ご無沙汰ですね、千景さん。」

「お久しぶりです、アコさん……相変わらずの格好ですね。」

「はぁぁぁあっ!?私の何処が変だとっ!?」

若干呆れた表情でそう言う千景に対し、青髪の少女、天雨アコは軽くキレながらそう言う。

(なんて大胆な格好なのでしょうか………)

「いや、だから……まぁ、いいです。それよりも………」

「例の装甲バギーですね。ホリィさんっ!!」

「了解や。ほれっ、バギーさんや。ちょいと乗ってくれんか?」

ヴゥンッ!ヴゥンッ!

アコの胸の部分を見ながらひなたが密かにそう思っているなか、黒髪の男性、ホリィ・マサミはそう言いながらバギーをトレーラーに乗せる。

「それから……彼女をFドックで預かってほしいです。」

「え……」

「ノアさんから話は聞いてます。例の保護した巫女ですね。」

「ち、千景さん……っ!!」

「少し窮屈だろうけど、うちよりも安全だと思うわ。」

「そう、ですか………」

真剣な表情でそう言う千景に対し、ひなたは俯きながらそう言う。

が、その手は千景の裾を掴んで離さなかった。

「…………千景さん。」

「………はぁ……わかったわよ。ごめんなさいね、アコさん。」

「いえ、こちらは大丈夫ですが……そちらは梨紗リーダーへの説得は大丈夫ですか?」

そんなひなたの様子にため息を吐きながらそう言う千景に対し、アコはそう尋ねる。

「えぇ、頑張ってみるわ。」

「そうですか……」

「後、この二丁をFドックそちらで強化改修してほしいです。姉さんからは許可は出ています。」

対する千景はそう言いながら、預かった千束の切られたデトニクスとたきなのM&Pをアコに手渡す。

「デトニクスにM&P………確認ですが、お二人が使う訳ではないですよね?」

「えぇ。使うのはリコリコ所属のリコリスです。」

「わかりました………リーダーが決めたことなら、私達はそれに従います。」

「それから……姉さんがこのタマも改良してほしいと………」

千景はそう言いながらフランジブル弾を手渡す。

「これは………ゴム弾ですか?」

「ちょいと貸してみ?」

バギーをトレーラーに乗せ終えたホリィがそう言いながらアコからフランジブル弾を受け取り、よく観察する。

「……いや。こいつはフランジブル弾やな。致死性が低いっちゅう点ではゴム弾と変わらへんが、パワーが断然ちゃう。見たところ、お手製のもんみたいやけど………」

「主にファーストである錦木さんが使用するもので、リコリコの管理者兼店長であるミカさんが彼女のために作ったものだそうです。」

「錦木……ノアさんから聞いた『電波塔のリコリス』、錦木千束ですか………」

「敵を殺さずに制圧するには適したタマではあるのは確かやけど……作った店長さんもやけど、その子も変わった優しい子やなぁ………」

「見てわかると思いますが、命中精度が酷いです………なんとかなりませんか?」

フランジブル弾を使う千束に好印象を抱くホリィに対し、千景は真剣な表情でそう尋ねる。

「……出来へん、とは言えへんな……任せときっ!!」

「よろしくお願いします。」

「千景さん、こちらを……」

ニカッとしながらそう言うホリィに千景がそう言いながら頭を下げるなか、アコがそう言いながらいつの間にかトレーラーから下ろした一台の黄色と黒のバイク…『オートスタッグ』を千景とひなたの近くに止める。

「二人はここからセーフティーハウスへの足がないとのことなので、Fドックから持ってきました。」

「お気遣いありがとうございます。」

「あ、ありがとうございます!!」

「いえいえ……では、私達はこれで。」

「梨紗ちゃんによろしくなぁ~♪」

そうしてアコとホリィはトレーラーに乗り、走り去っていく。

「それじゃあ、よろしくね。え~と……」

「……上里うえさと……上里ひなた……です………」

その後、首を傾げながらそう言う千景に対し、ひなたは改めてそう名乗った。

~~~回想終了~~~
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