プロローグ

「「「!?」」」

「!?梨紗さんと梨紗さんのお父さんが考案したものってどういうことですか!!?」

「それ以上は機密事項。だから答えないし、答えるつもりもない。」

梨紗からの告白にフキとエリカ、ヒバナの三人が驚愕の表情を浮かべるなか、たきなは困惑しながらそう尋ねる。

が、梨紗は即答でそれ以上の情報の開示を拒否する。

「機体については状況に応じて開示するから安心して。」

「ですが!」

「わかった。」

「フキさん!?」

「目の前にいる化け物を含めた兵器に関する情報をその都度、開示するならそれだけで十分。
なにより今はあの化け物をぶっ壊して、鼻息荒くしながら調子乗ってる目標を捕まえるのが最優先……そうだろ?梨紗。」

まだ梨紗に問い質そうとするたきなを制しながら、自身の愛銃でリコリス共通の支給品であるGLOCK17のマガジンを交換しながらフキは真剣な表情でそう言う。

「そうね。でも、珍しいわね?フキが破壊に乗り気だなんて……」

「別に。ああなったら回収が不可能なのは明らかだし。なにより……化け物の威を借りて調子乗ってる目標オヤジの鼻っ柱をへし折ってやりたくなっただけだ。」

首を傾げながらそう尋ねる梨紗に対し、フキは若干引きつった笑みを浮かべながらそう答える。

その額には青筋が浮かぶかのようにしわが寄っていて、背中からはどす黒いオーラが吹き出ていた。

「ひっ!?」

「うわぁ……」

「なんか笑顔なのにどす黒いオーラが……」

そんなフキの様子にエリカが思わず悲鳴を上げヒバナが苦笑いを浮かべるなか、たきなは若干冷や汗を流しながらそう言う。

「……気持ちはわかるけど、落ち着きなさい。
怒りがひしひしときて頭に響く……」

「……すまない。」

(頭に響く?)

「それで?何か策はあるのか?」

梨紗の『頭に響く』という言葉にたきなが首を傾げるなか、一旦落ち着きを取り戻したフキはそう梨紗に尋ねる。

「ある。5秒で良いから彼奴の気を引き付けて。その間に私がヘカートで仕留める。」

「わかった。」

「仕方ないね。」

「うん。お願いね。梨紗。」

真剣な表情でそう言う梨紗にフキがそう返事するなか、ヒバナとエリカもそう言いながらGLOCK17のマガジンを交換する。

そんな四人の姿にたきなは確かな信頼関係で繋がっているのを感じとる。

「………」

「たきな。おまえはどうする?」

そんなたきなに対し、フキは真剣な表情でそう尋ねる。

「……わかりました。現場ではフキさんと梨紗さんの指示に従う……でしたものね……」

対するたきなは真剣な表情でそう言いながらM&Pのマガジンを交換する。

「頼んだわよ……」

梨紗はそう言うや否やフキ達と共にいた遮蔽物から飛び出す。

「サッキノ女!撃テッ!撃チ殺セェッ!!」

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

そう言うボスの言葉に従い、HWSリーオーや部下達が梨紗を撃ち殺そうと銃撃する。

が、梨紗はその殺意が込められた弾幕を掻い潜りながら背の高いコンテナが並ぶエリアの遮蔽物に飛び込む。

飛び込んだ後、梨紗はCHGからMP7のアタッチメントを外し、左腰に着けているアンカーガンのアタッチメントを取り付ける。

その後、梨紗は右手にヘカート、左手にアンカーCHGを持った状態でインカムでフキ達に連絡する。

「準備完了。スリーカウントで攻撃開始して。」

「了解。全員、梨紗のスリーカウントで一斉斉射っ!!」

「「「了解っ!!」」」

「3、2、1、ゼロッ!!」

バシュッ!!

ガンッ!!

自身の『ゼロッ!!』という言葉と同時に梨紗はアンカーCHGでコンテナの上に飛び乗る。

HWSリーオーのカメラアイはそんな梨紗の姿を捉える。

パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!パシュッ!……

「!?」

「ウワッッ!?」

が、フキ達の一斉斉射により、そちらに注意が向いた。
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