命の重さと確執と・・・

カチャ……

「先程はうちの者がすまなかったな……」

「いえ……こちらも事前の連絡もなしに急に来たものですから……」

数分後、そう謝罪しながら二人分のコーヒーを淹れるミカに対し、影山と共にカウンター席に座った矢車は冷静にそう言う。

「………」

そんななか、梨紗は日常用補助装置ユニットを装着し、澄ました表情で矢車から少し離れたカウンター席に座る。

側には同じように澄ました表情を浮かべる千景と、苦笑いを浮かべている巫女…上里ひなたの二人も控えている。

「そうか……あ。そのコーヒーはサービスだから気にせずどうぞ。」

「ありがとうございます。ミカ先生。」

「あれ?先生、もしかして、リリベルの教官もしてたの?」

矢車と軽くそう話をするミカに対し、たきなと共に座敷席に座っていた千束は首を傾げながらそう尋ねる。

「まぁな……まさか、今回の現場指揮を任されていたのが昔の教え子だったとは思わなかったが………」

「あの頃はお世話になりました……いただきます。」

「いただきます。」

そうして矢車と影山の二人はミカの淹れたコーヒーを口にする。

「しっかし、まさか、リリベルがここに来るなんてねぇ~。まさか、たきなや梨紗達のように飛ばされてきた?」

「ミズキ。」

「あ、あはは……流石に飛ばされてませんよ……司令から大目玉を食らいましたけど………」

酒盛りしながらそう言うミズキにミカが静かにそう言うなか、矢車が苦笑いしながらそう言う。

「今回の失態を受けて、虎杖司令と生き残ったリリベルは上から二ヶ月の減給、現場指揮官だった俺はムチ打ちの懲罰を受けることになりました。」

「ムチ打ちっ!?」

「マジかっ!?」

「ッ……」

矢車から聞いた処分の内容に千束とミズキは困惑の声を上げながらそう言い、梨紗は険しい表情を浮かべる。

千景も同じように険しい表情を浮かべ、たきなは驚愕の表情を浮かべるなか、ひなたは顔を青ざめる。

「これだから……野心家な権力者は………っ!!」

「当初は俺達もムチ打ちを受ける話だったんですが、隊長が『ムチ打ちは自分だけにしてほしい。』と上に掛け合ったようでして……」

梨紗が嫌悪感を露にしながらそう言うなか、影山は暗い表情を浮かべながらそう捕捉する。

「そうだったのか……想、色々と大変だったな………」

「いえ。現場指揮として責任を取るのもファーストの務めですから……」

「………ところでさぁ……それ、なに……?」

労いの言葉をかけるミカに矢車がそう言うなか、千束は矢車の近くにある、豆腐が入ったボウルを指差しながらそう尋ねる。

「……ミカ先生、ちょっと厨房をお借りして良いですか?」

「?」
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