命の重さと確執と・・・

『えっと……後で解析データをお渡ししますので……』

「はぁ……クルミ。後で貴女には今回の働きに見合った報酬を渡すから……」

『言っておくが、カネなら簡単に引き下がらないぞ。』

「違うわよ。前から貴女が興味を持っている、うちの技術の一端。それとノアが後から送る解析データで今回は引き下がってくれないかしら?」

『!?そういうことなら……わかった……』

「それじゃあ千景はここに残って、そいつのアコ達への引き渡しをお願い。」

「わかったわ。姉さん。」

「それと千束。」

「ん?」

「……デトニクスを見せてちょうだい。
ブラッディーリーフに切られたんでしょ?
ノアからそう聞いたわ。」

「あ…うん……」

千景に指示を出した後、そう言う梨紗に対し、千束はそう言いながら銃身から真っ二つに切られた愛銃デトニクスを差し出す。

「……よく手入れしているみたいね……」

「まぁね。10年前から一緒に人を助けてきた・・・・・『相棒』だからね……でも、切られちゃった……」

「千束さん……」

受け取ったデトニクスを見ながらそう言う梨紗に対し、千束は少しだけ悲しそうな表情を浮かべながらそう言う。

「……自分を引き換えに主人あなたを護った……そう考えれば、デトニクスこの子も本望じゃないかしら……」

「梨紗姉……」

「千景。」

「はい。」

「回収に来るアコ達にバギーの解析と同時進行でデトニクスこの子を修理、いや、改修強化するように言って渡してちょうだい。」

「わかったわ。姉さん。」

「えっ!?綺麗に切られてるけど、デトニクス……直せるのっ!!?」

「というか改修強化って……まさかっ!?」

デトニクスこの子にうちの技術を取り込ませる。これからの戦いに備えてね。」

「姉さん。折角だから井ノ上さんのM&Pも強化した方が良いのでは?」

「そうね。良い機会だし……たきな。」

「は、はい……」

梨紗にそう言われたたきなは戸惑いながらも自身の愛銃M&Pを千景に手渡す。

「それと千束。例の非殺傷ゴム弾…フランジブル弾だったかしら。あれも何発か貸してくれないかしら?」

「え?う、うん……」

「千景…(ゴショゴショ)…」

そうして千束から受け取った幾つかのフランジブル弾を、梨紗は千景に耳打ちで何らかの指示を出しながら手渡す。

「!?わかったわ……姉さん……」

対する千景は真剣な表情でそう言いながら受け取る。

その後、千束とたきなはミズキのSUVでリコリコへ、梨紗と巫女は後から迎えに来てもらった美咲の車でセーフティーハウスへ戻ることになった。
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