「ねぇ、梨紗姉。」

「なに？」

「……この子、やっぱり壊さないとダメ？」

脱出に成功した後、借りていたミズキのSUVを回収するために立ち寄ったヘリポートにて、千束は脱出に協力してくれた（・・・・・・・）ロボット（バギー）を見ながらそう尋ねる。

「あっ！勿論、梨紗姉の目的が『G装備の破壊』だってことは理解しているし、今でも手伝いたい気持ちはちゃんとあるよっ！！でも、この子は私達の『命の恩人』だから、見逃してほしいなぁ～…なんて……」

「千束さん……」

「………」

謎のロボット（バギー）の処遇について、千束がそう懇願するなか、梨紗は改めてロボット（バギー）を観察する。

「えっとぉ……梨紗姉？」

「……結論から言うけど……」

「ッ……」

「こいつ、G装備じゃないわよ。」

「……へ？」

「そうなんですか？」

目の前にいるロボット（バギー）はG装備じゃないという梨紗の言葉に千束とたきなは思わずそう呆けた声を上げる。

「えぇ。これはうちの技術で造られた機体じゃない。でも、現行じゃない技術が使われている。だから、調べる必要があるわ。」

そんな二人に対し、梨紗は真剣な表情でそう答える。

「じゃあ…っ！！」

「一旦Fドックに預けて解析してもら」

「ぃやったあああああっ！！良かったねっ！バギー君っ！君も今日からリコリコの仲間入りだよっ！！」

梨紗の言葉の最中、千束は喜びの声を上げながらそうロボット（バギー）に語りかける。

ヴゥンッ！ヴゥンッ！

対するロボット（バギー）も言葉が通じているのか、エンジン音を鳴らしながら嬉しそうにツインアイの目を細める。

「いや、姉さんは今、一旦はFドックに預けるって言ったでしょ……」

「そもそも店の何処に置くんですか？これ……」

「……ノア。」

『既にアコさんとホリィさんに連絡して、トレーラーでそちらに回収に向かってもらっています。』

そんな千束に千景とたきなが呆れながらそう言うなか、そう言う梨紗に対し、ノアが特殊無線越しにそう言う。

『その後は2号機で運び込みますね。』

「えぇ、頼んだわよ。」

『待てっ！ボクもそのバギーを調べたいんだがっ！？』

二人の会話にクルミが割り込みながらそう言った。