命の重さと確執と・・・

「どうぞ。落ち着いて乗って下さい……」

「あ、あぁ、すまない……」

「………」

その頃、地下施設への出入口があった廃墟から少しだけ離れた地点でたきながリリベル達を介抱しながらヘリに乗せていくなか、梨紗はドア付近に寄りかかりながら右足の具合を確かめる。

(外に出てからは問題なく動く……ということはやっぱりPAユニットには問題はない……となるとあの時、地下施設内あのなかで何かジャミングが仕掛けられていた……?)

「鳴護。リコリスそちらの仲間がまだ見えないみたいだが、大丈夫か……?」

PAユニットを見ながらそう思案する梨紗に対し、矢車は周囲を警戒しながら、廃墟の方を見ながらそう尋ねる。

「……ノア。」

『はい。千景さん達は今、資材搬入庫で発見した大型バギーで脱出に向けて走行中です。今から出口ポイントを送ります。』

ノアがそう報告した直後、梨紗のPDIに位置情報が送られてくる。

(ここからそう遠くないわね……)

「……矢車。リリベル達の搭乗は?」

「A班全員が乗ったが……影山。」

「殆んどが怪我の度合いが酷い……すぐにでも病院に行かないと危険ですっ!!」

「一応全員、千束さんの応急手当てを受けていますが…」

位置情報を確認した後、そう尋ねる梨紗に対し、矢車とヘリの中で介抱を手伝っていたセカンドリリベル、影山瞬とたきなの三人がそう答える。

「そう……たきな、降りて。リリベルあなたたちはこのまま先にヘリで離脱して、病院へ向かいなさい。」

「え?」

「なっ……おまえ達はどうする気だ!?」

その報告を聞いた後、そう指示を出す梨紗にたきながそう呆けた声を上げるなか、矢車は慌ててそう尋ねる。

千景あのこ達が別手段を見つけて脱出してくるようだから、それで離脱するわ。だから、安心して行ってちょうだい。折角助かるかもしれない仲間の命を散らしたくはないでしょ?」

「ッ……」

真剣な表情で梨紗がそう言うなか、たきなはすぐさまヘリから降りる。

「早くっ!!」

「ッ……すまない……」

矢車はそう言いながらヘリに乗り込む。

バババババババババ……ッ!!

そうしてリリベル矢車達を乗せたヘリはDA関連の病院に向かって飛び立つ。

「梨紗さん。支え無しで大丈夫なんですか?」

「平気よ。地下施設から脱出してジャミングの範囲外に出たからか、PAユニットも問題なく稼働しているわ。」

それを見届けた後、そう尋ねるたきなに対し、梨紗は冷静にそう答える。

「それじゃあ、私達も行きましょう。ノアがくれた情報だと、千景達が出てくるポイントは近くにあるみたいだから……」

「はい。」

そうして二人は移動を始めた。
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