命の重さと確執と・・・

「はい!これでOK!!こっち向いても良いですよぉー。」

「ありがとう、千束。」

それから数分後、処置を終えた千束がそう言うなか、身体の至るところに包帯を巻いた梨紗がそう言う。

上は血で駄目になった肌着を脱ぎ捨て、大事なところを包帯で隠し、その上から制服を羽織っている。

「貴方も、ありがとうね。」

「こちらこそ、救援に来てくれて感謝する。」

「…ところで千束、最後のリーオーはどう倒したの?」

矢車が頭を下げながらそう礼を言うなか、梨紗は最後のリーオーを倒した経緯について、そう尋ねる。

「それが………突然現れたG装備が倒しちゃって………」

「G装備!?特徴は!?」

突然現れた謎の仮面の男G装備の特徴について、梨紗は動揺しながらもそう尋ねる。

「全体的に白く、背中に翼のような大きなスラスターがありました。」

「顔は人みたいに二つ目で角があったよ。それから男の人が装着しているみたいで喋ってた。」

「赤い大きな盾と緑色のビームサーベルを装備していた………あの無駄のない動きと太刀筋から診て、装着者自身もかなりの腕前だろう………」

そんな梨紗に対し、たきなと千束、矢車の三人がそう説明する。

「白いボディに大きな翼………ツインアイにブレードアンテナ………赤い大きな盾に緑色のビームサーベル………………まさか、いや、でも………」

「梨紗姉?もしかして心当たりが?」

三人から特徴を聞いた後、少しだけ青ざめながらそう呟く梨紗に対し、千束は首を傾げながらそう尋ねる。

「一応ね………でも、あり得ないし、考えたくもない推測よ………クルミ、聞こえる?」

『あぁ、聞こえてるし見えてるぞ。』

「なら、そのG装備の映像も捉えてるわよね?そのデータを私のPDIとノアに送って。」

『わかった。』

「それで梨紗さん、これからどうしましょうか?」

「俺の聞き違いでなければあのG装備おとこ……これからこの地下施設を破壊するつもりらしいが……」

これからの方針について、たきなが梨紗に確認するなか、矢車は真剣な表情でそう言う。

「そう…あまりゆっくりしてられないわね……千景。聞こえる?」

『はい。姉さん。』

「巫女は救出できたかしら?」

『はい。今、一緒に行動しています。』

「そう…こっちはトラゴスと二体のリーオーを撃破、リリベル男達とも無事に合流したわ。今からそっちに千束を寄越すから、合流して急いで脱出して。私達もこれから脱出するわ。」

『?わかりました。』

「という訳だから千束は今から千景と合流してから脱出して。ノア、追加で千束のオペレートもお願い。二人が無事に合流できるようにサポートしてあげて。」

『了解しました、梨紗姉さん。』

「よろしくね。ノアちゃん。」

「ちょっと待て。リコリスそちらの仲間はどこら辺にいる?」

その後、梨紗が千束とノアにそう指示を出すなか、矢車がそう尋ねてくる。

「……地下三階。それが?」

「……地下三階そこにはリリベルおれたちの仲間であるB班がいる……図々しい頼みなのは承知しているが、可能なら彼奴あいつらのことも助けて欲しい………」

地下三階にリコリスの仲間がいることを確認した後、矢車は真剣な表情でそう言いながら頭を下げる。

「事情はわかったわ。千束、生存者がいれば、彼らも手当てして一緒に脱出を。」

「了解、梨紗姉。」

にはくれぐれも気を付けてね。」

「うん!!」

「たきなは私とリリベル達と一緒に先に脱出するわよ。」

「はい。」

「それじゃあ、行きましょうか……」

千束とたきなにそう指示した後、梨紗はそう言いながらソードCHGを杖代わりにして立ち上がり、歩きだそうとする。

が、PAユニットが動かないせいで動きが覚束おぼつかなく、思わずよろめきかける。

ガッ!!

「!?」

「………」

そんななか、矢車が問答無用で肩を貸す。

「私よりも……自分の仲間を優先なさい。」

「借りを返すだけだ、『鷹の眼』。『電波塔のリコリス』もどうかよろしく頼む。」

「千束だよ、錦木千束。そっちは梨紗姉。」

「……矢車想だ。」

そうして梨紗達は脱出に向かって動きだした。
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