命の重さと確執と・・・

「おいおい、嘘だろ……」

「あの女、リーオーを剣で倒しやがった……!」

一方その頃、監視室で大試験場内の様子を観ていた、千景が昏倒させた警備兵と同じ服装をした兵士達がそう困惑の声を上げる。

「へぇ、彼女が最も危険なリコリスかい。」

「っ!?こ、これはアルマーク様…!」

そんななか、いつの間にか監視室内にいた青年に対し、兵士達は慌ててそう言いながら敬礼する。

「フフフ………流石は朝鳴の遺産だ、まさかここまでやれるとはね。君、この試験場には『サイコジャミング』があるのではないのかね?」

黄緑の髪に中性的な顔立ちの青年はモニターに映る梨紗をその紫の瞳で観察した後、近くにいる兵士にそう尋ねる。

「は、はい。まだ開発段階のものですが……」

「では、作動したまえ。僕が許可しよう。」

「はっ!!」

「……彼らが警戒するのも納得だね。でもその右足、その装備の恩恵があってのものではないのかね。」

そう指示した後、青年…『リボンズ・アルマーク』はモニターに映る梨紗のPAユニットを見つめながらそう言う。

「アルマーク様!例の巫女が他の侵入者に連れ出されましたっ!!」

「ん?」

そんななか、一人の兵士に声を掛けられたリボンズはその兵士が観ているモニターを見る。

そこには巫女をおんぶする形で研究室から出ていく千景の姿が映し出されている。

「おやおや……彼女まで連れ出されるのは少し困るかなぁ……」

(聞こえるかい?ブラッディーリーフ……)

(!?アルマーク様……)

リボンズはそう言いながら、思念波で施設内にいるブラッディーリーフと連絡を取り合う。

(新たに侵入してきたリコリスに巫女が連れ出されてしまったようでね。可能なら奪還してきてほしい……そろそろリリベルクサ刈りには飽きてきた頃だろう?)

(了解しました。すぐに向かいます。)

(期待しているよ。)

「フフフ………本当に期待しているよ。君は優秀な駒・・・・だからね、ブラッディーリーフ。いや……乃木若葉・・・・。」

そうしてブラッディーリーフに指示を出した後、リボンズは不敵な笑みを浮かべながら静かにそう呟いた。
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