命の重さと確執と・・・

(こっちです……千景さん……っ!!)

(またこの『声』……やっぱり例の巫女?だとしても、どうして私の名前を……)

一方その頃、梨紗達と別れた千景は頭の中に聞こえてくる『声』に首を傾げながら、地下三階の廊下を駆ける。

『次を右に曲がった先に巫女が囚われていて、そのゲートの前に見張りと思われる警備兵が二名配置されています。』

「ッ……」

そんななか、通信越しにそう言うノアの言葉に千景は一旦曲がり角で立ち止まり、右側からは死角になるように身を潜めながらその先を確認する。

「……最近の警備は上流階級の貴族主催のパーティーの警備が多いのかしら……」

確認した警備兵二人の出で立ちについて、千景はそう言いながらいぶかしむ。

二人の警備兵は深緑の燕尾服に頭の上半分を大型のヘッドギアで覆い、アサルトライフルを装備しているという出で立ちをしていた。

『一応の確認はしましたが、民間の警備会社で同様の服装を制服として採用している会社はありませんでした。』

「まぁ、アサルトライフルなんてものを持っている時点でカタギじゃないでしょうね……にしても、あの胸のワッペン……」

警備兵について、そう報告してくるノアに対し、千景は警備兵の燕尾服の左胸にある、『白い牙が並んだ顎』がかたどられたワッペンを見ながらそう呟く。

(さて……どう突破しようかしらね………)

千景がそう思いながら通路影で機会を伺うなか、警備兵の一人が無線機を手にする。

「!」

(定時連絡………ということは……っ!!)

「こちらMゲート、異常なし。そっちはどうだ?」

『こちら監視室。大試験場で今、面白いことになってるぞ。』

「へぇ……あのガキ共か?」

『いや。どうやら応援で来たらしい女子だ。』

「……またガキか……」

『ただ訓練されたガキじゃなさそうだぞ。
たった一人で三機を相手に、剣で立ち回ってやがる……』

「「はぁっ!?」」

「っ!!」

警備兵の二人が驚愕して無線機に意識が向いた瞬間、千景は物音を立てないように飛び出し、CHGをソードモードに切り替えながら一気に肉簿する。

「おいっ!それ本当か……」

ドカッ!!

「ぐあっ!?」

ドサッ!!

「!?貴様、何者」

ドカッ!!

「ぐはっ!?」

ドサッ!!

『おいっ!何があった?Mゲート、応答』

バキャッ!!

「ノアさん、ゲートを。」

警備兵二人を峰打ちで昏倒させ、転がった無線機を踏み砕いた後、千景はそうノアに指示する。

『今、開けます。他ゲートを封鎖すると同時に目標までのゲートを開けますが、増援には気を付けて下さい。』

ゴゴゴ……ッ!!

対するノアがそう警告すると同時に、目の前のゲートが開き始めた。
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