命の重さと確執と・・・

どこからか外界げかいに漏れたのだろう。
ある日突然、武装した集団が集落を襲撃してきて、幼馴染みは刀を手に立ち向かった。
記憶があり、その恩恵からか前世に近い身体能力がある彼女だったけど、私達の身体がまだ幼く、多勢に無勢だった。

やがて彼女は取り押さえられ、む無く私は彼らの指示に従った。そして此処ここに連れてこられ、無理やりチカラを引き出されられる日々。

せめて彼女に会えれば………そう願ったなか、再会した彼女は別人になっていた。まるで違う人格になっているかのようで冷たく、私のことを『実験体』としか見ていなかった。

それがとても辛く、希望を失った感覚に支配された。

それからどれだけ経っただろうか。いつものように椅子に縛り付けられ、実験を強いられていると、どうも外が騒がしい。気になって痛みと苦しみに耐えながら外へ意識を集中させると、どうやら施設側と別勢力の戦闘が発生しているようだった。

助けがきた。そう思うも、施設側が投入した兵器によって別勢力が圧倒されていく。人々の意思が次々と消えていくのを感じ、頭が痛く息が苦しくなる。

誰か………誰か………助けて、下さい………っ!!

そう願った時、懐かしい気配を感じ取った。
この施設に向かってくる四つの気配の内の一つ。
闇を纏いつつ不器用な優しさを隠しきれない、実に脆く優しく人一倍仲間想いで自分に価値を求めた方。

そう。この気配は、彼岸花を纏い大鎌を手に戦った勇者の………っ!!

幼馴染みが、若葉ちゃんが若葉ちゃんでない今、助けを求めるには彼女しかいない………っ!!

「助けて下さい………千景さん………っ!!」

今、私ができる限りの念を彼女に送った。
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