命の重さと確執と・・・

「うへぇ……実際に近付いて見ると壮観だなぁ……」

「まるで何処かの秘境に迷い込んだ気分にされますね。」

ブブブ……ッ!!

「あ!クルミのドローン!!」

降り立った後、千束とたきなが廃墟を見上げながらそう言うなか、クルミのドローンが飛んでくる。

「クルミ。一応確認なんだけど、私達が来るまでに地上で戦闘が行われた痕跡は?」

『いや。その廃墟の周囲を飛び回ってみたが、ロボットはおろか死体の一つも見当たらなかった。』

「そう……だとしたら、ちょっと厄介かもしれないわね……」

通信越しにそう言うクルミの返答に対し、梨紗は真剣な表情でそう言う。

「?どういうこと?梨紗姉。」

「戦闘の痕跡を消したにしても、私達が任務を受けてここに来るまでの時間が短い。それで痕跡が一つもなかったということは……」

「!?リリベルとG装備は地上で戦闘をおこなっていない……?」

首を傾げながらそう尋ねる千束に梨紗がそう答えるなか、その言葉から導かれる一つの可能性に気付いた千景は真剣な表情でそう言う。

「それはつまり廃墟内このなかで戦闘が行われているということですか?」

「ん~?でも、中から火薬の臭いがあまりしないんだけど……」

そこに追従するようにたきながそう言うなか、千束は中を覗き込むように奥を見ながらそう言う。

「中は中でも建物内ではないわ……」

そんななか、梨紗はそう言いながら鋭い視線を奥へと向ける。

「……戦闘が行われているのは地下……研究所はこの廃墟の真下にあるのよ……」

『流石だな、梨紗。おまえらが来るまでにハッキングで調べてみたら、その真下に一集落分の規模がある研究所が眠っていたぞ。』

「一集落分!?」

「この下にですか!?」

通信越しにそう言うクルミの言葉に千束とたきなはそう困惑の声を上げる。

『Fドックよりウイングチーム、Fドックよりウイングチーム。』

「うおっ!?」

そんななか、今度は梨紗のPDIにFドックのノアからの通信が入ってくる。

「こちら、ウイング01。何か分かったのかしら?」

『施設のコンピューターより、目標を特定できました。目標はトラゴスの模様です。』

ノアがそう言った直後、PDIの画面に広い廊下を闊歩する、両肩にキャノン砲を装備し下半身はキャタピラーになっている茶色いロボット兵の姿が映し出される。

「おぉ……これがG装備……」

「まさに戦車がロボットになった感じですね……」

「閉鎖空間でタンク………」

『後、通常のリーオーも何体か配置されているようです。それと一つ、気になることが……』

「他に何かわかったことが?」

『『巫女の能力実験』という記録を見つけました。どうやら一人の少女が実験体を強いられているようです……』
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