ウォールナットを逃がせ!!

「そうね……私としては先に浴びてしまいたいけど、千景は?」

「私も同じ意見です。」

「そう…それじゃあ……」

「………」

三人がそう話をするなか、にとりは受け取ったPAユニットと二人分の竹刀袋を持って奥へ引っ込もうとする。

ガシッ!!

これ・・も一緒に連れてって。今、漸く地下したから引っ張り出してきたところなの。」

「………」プラーン

「「………」」

が、そう言う美咲にあっさりと捕まり、持ち上げられる。

「……美咲。私にはソード二本とPAユニットの調整メンテナンスが……」

「それは後で私も手伝うから。今日で地下したこもって何日だと思ってるの?」

「……何日だっけ?」

「三日よっ!三日っ!!このなかで一番の歳上の二十歳の乙女が三日も地下籠りとかどうなの!?」

「………」

「にとり……私もそれはどうかと思うわ……」

首を傾げながらそう言うにとりに美咲がそうツッコミを入れるなか、千景はなんとも言えない表情を浮かべ、梨紗も同じ表情を浮かべながらそう言う。

「とりあえず事情はわかったわ………千景。」

「はい………くっさ。」

美咲からにとりを受け取る形で抱き抱えた瞬間、千景は思わずそう言いながらしかめっ面になる。

「………流石の私も傷付くんだけど。下ろして。」

「駄目よ。くっさいけど、このまま連れてくわ。」

「二度も言った………」

千景はそう言葉を交わしながら、にとりを風呂場へと連れていく。

「まったく……あれで私より三つ上の二十歳だっていうんだから、不思議というか情けないというか………」

「いつも苦労をかけて悪いわね、サキ。」

そんな後ろ姿を見ながらため息混じりにそう言う美咲に対し、梨紗はそう言葉をかける。

「あぁ、良いわよ。別に。ほら、あんたもさっさと浴びてきなさいな。疲れてんでしょ?」

「えぇ、そうさせてもらうわ。お母さん。」

「誰がお母さんだ。あんたより一つ歳下しただっての。」

その後、美咲とそう言葉を交わしながら、梨紗も二人の後を追って風呂場へと向かっていった。
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