「しかし、あのウォールナットがリコリコ（こちら）側に就くとは思いませんでした……」

「そうね……元よりDAより先に見つけて接触するつもりだったけど……嬉しい誤算だったわ……」

リコリコでの業務を終えた後、千景と梨紗はそう話しながら帰路に就く。

「……深沙希。」

スゥゥゥ

「はい、お嬢様。」

そんななか、周囲に人がいないことを確認した梨紗がそう呟いた瞬間、姿を消して隣を歩いていた深沙希がそう言いながら姿を現す。

「貴女に頼み事がある。吉松シンジについて、調べて。徹底的に洗って。」

「承知致しました。」

「気を付けて。あの人、きっと只者じゃない。時間はかけて良いから、慎重にお願い。」

「畏まりました。」

スゥゥゥ

歩くスピードを落とさずにそう指示を出す梨紗にそう返事しながら、深沙希は再び姿を消す。

「どういうこと？姉さん。」

「今日、リコリコで『千束と何の仕事をしているのか』と聞かれたわ。普通だったら、そんな質問が出る訳がない。この異常性、わかるでしょ？だから、調査を命じたの。」

「……少し警戒した方が良さそうね。」

「えぇ。でもさっき、深沙希に言ったように、あの人は只者じゃない。警戒していることを悟られないように気を付けて。」

「はい、姉さん。」

二人がそう話をするなか、二人が住むセーフティーハウスに到着した。

ガチャッ！！

「「ただいま。」」

「おかえり、二人とも。今回もお疲れ様。」

「……おかえり。」

二人がそう言いながら家に入ると、二人の少女がそう言いながら出迎える。

「ありがとう。今回は久々に二人ともソードを使ったから、メンテナンスお願い。」

そんな二人に対し、梨紗は靴を脱ぎながらそう言う。

「お願いします、美咲さん。」

「はいよ、二人で朝までに済ませておくよ。」

そう言いながら二人分の竹刀袋を渡してくる千景に対し、肩までの黒髪をショートポニーにした十七歳くらいの少女はそう言いながら受け取る。

「はい……梨紗……」

そんななか、ついでに右足のPAユニットを外している梨紗に対し、外はねが特徴的な青髪の短髪に瞳も青い小学生くらいの少女がそう言いながら杖を手渡す。

「ん。ありがとう、にとり。」

「PAユニットも朝まで仕上げておくから……貸して……」

「えぇ、任せたわ。」

杖を渡した後、そう言う青髪の少女、河城にとりに対し、梨紗はそう言いながらPAユニットを手渡す。

「で、ご飯もお風呂もすぐにできるけど、どうする？」

そんななか、黒髪ショートポニーの少女、奥沢美咲が首を傾げながらそう尋ねてきた。