ウォールナットを逃がせ!!

カタカタ……

「……解像度は補完できたな。」

「おぉ~!綺麗ぃ~!」

「流石ね……」

クルミが千束のスマホからハッキングで抜き取り鮮明化させた取り引き現場の拡大部分を見て、千束と千景はそう言う。

主犯こいつについては特定に少しばかり時間をもらうが良いか?」

「えぇ、お願い。」

「今日から仲間だね。名前は?」

「ウォールナッ」

「ちょいちょい。ウォールナットそいつはもう死んだんでしょ?本当の名前を教えなさぁ~い。」 

「……クル」

「あぁ、そういえば、姉さんは『クルミ』って呼んでたわよ。」

改めて名乗ろうとしたクルミの台詞を遮りながら、千景がそう言って教える。

「おほほほ!なにそれ、日本語になっただけじゃん!!」

「おわっ!?」

それを聞いた千束はそう言いながら、クルミに抱きつく。

「でも、そっちの方がよく似合ってるよぉ~!」スリスリ

「んぁ~!頬擦りやめろ!言っとくけど、ボクはお前らに盾にされたり、投げ飛ばされたこと忘れてないからなっ!!」

「うひょ~!頬っぺた柔けぇ~!一体何溜め込んでんだぁ~?」

「頬袋じゃねぇよっ!!」

「………」

千束とクルミがそう言いながらじゃれ合うなか、たきなはツインテールの片方のヘアバンドを外し輪ゴムピストルのように構える。

「よろしくねっ!クルミっ!」

「……よろしく。千束。」

「出といでよ、一緒に梨紗姉特製クレープ食べよっ。たきなも―――」

千束がそう言いながら振り向いた瞬間、たきなは輪ゴムピストルを撃ち、ヘアバンドが千束に向かう。

が、千束はそれを無意識の範囲で避け、

「っと……」

パシッ!

避けられたヘアバンドがクルミに当たる寸前で千景が横から手を伸ばし、キャッチする。

「……え?」

「え?」

「………」

「……なにやってるの?二人とも……」

千束とたきながそう呆けた声を上げ、クルミがなんとも言えない表情を浮かべるなか、千景が呆れながらそう言った。
31/34ページ
スキ