ウォールナットを逃がせ!!
「!?周りの人間の人生……」
「今回のケースに当て嵌めるなら、一番先に狂わされるのは貴女達が交戦した、今日で六歳になる傭兵の娘ね。場合によっては新たなリコリス になる可能性だってあった……」
「!?」
新たなリコリス……それはつまり自分と同じ孤児を自らの手で生み出す可能性があったことにたきなは思わず息を呑む。
「私は……」
「たきな。」
思わず口元に手をやるたきなに対し、梨紗は更に言葉を続ける。
「先に言うけど、私は貴女の考え方を責める気もなければ、否定する気もない。それも一つの『正義』だと思うから。でも、だからこそ、奪い狂わせてきた人達の人生を背負う『覚悟』を持ってほしい。」
「……背負う覚悟……」
「それともう一つ、常にDAの『正義』と自分の 『正義 』を照らし合わせて行動すること。そうじゃないとリコリス もあのリーオ―と同じ、『上』に命じられるままに人を傷つける『怪物』になってしまうわ。」
「姉さんにも私にも、錦木さんにもやりたいことがある……貴女はどうなの?井ノ上さん。」
「私は……」
「ま、まあまあ!とりあえずはさ。傭兵 達は今回は敵だった だけで結局は誰も死ななかったし、人生が狂うこともなかった……今はそれで良いじゃん。」
「そうだな。反省会はそこまでにして、今は互いを労ったらどうだ?」
千景からの問いにたきなが良い淀むなか、千束とミカがそう助け船を出して幕引きを図る。
「そうね。いずれにしろ、騙したことへのお詫びはしなきゃと思ってたし……」
そんなミカの言葉に梨紗はそう言いながら、皿に盛りつけられたクレープをカウンターに置く。
「おぉ~っ!!クレープっ!!」
「生地は米粉を使って、あんことクリーム、苺を挟んでみたわ。」
「美味しそうぅ~っ!いただきますっ!!あ!たきな!座敷に座布団出してきて。」
「はい。」
「切り替え早いわねぇ~。」
「♪」
千束が梨紗の特製クレープを堪能するなか、たきなはそう言いながら座布団を出しに押し入れへと向かう。
「千景も二階の片付けとテーブル拭きをお願いできる?」
「はい。姉さん。」
梨紗も千景に用事を言いつけ、千景はそう返事しながら二階のイートインスペースに向かう。
「うえええええええっ!!?」
「「!?」」
少しした後、押し入れの方からそう言う千束の叫び声が聞こえてくる。
「どうしたの?」
「?」
「あっ!梨紗姉に千景!で、出たっ!座敷わらし!!」
「「……はぁ?」」
「ぬぐぐぐ……っ!!」
様子を見にきた二人がそう言いながら首を傾げるなか、千束はそう言いながら閉じられた押し入れをこじ開けようとする。
「どっせぇぇぇいっ!!」
バターーーンッ!!
「……ウォールナット?」
「……よっ。」
千束がこじ開けた先には座敷わらし……ではなく、ウォールナットことクルミがスパコン並みの何かを展開して居座っていた。
「あぁ、そういえば、今日から暫くはリコリコ で匿う話だったのを伝え忘れてたわ。」
「ちょっ!?梨紗姉~!忘れないでよ!座敷わらしかと思ったじゃん!!」
「どちらかと言えば、猫型ロボットじゃないかしら。押し入れだし……」
「ボクは奴程万能じゃないぞ。あくまで電脳戦専門だ。」
カランカラーン♪
「やあ、ミカ。」
「おぉ……シンジ、いらっしゃい。」
目を細めながらそう言う千景にクルミがそう言うなか、吉松が来店してくる。
「いらっしゃい、ヨシさん。何か召し上がりますか?」
「やあ、梨紗ちゃん。私からの土産は気に入ったかい?」
「?お土産、ですか?」
「先日、ロシアに行ってきてね。昼間、君がいなかったから、ミカに預かってもらったんだが……」
首を傾げながらそう聞き返す梨紗に対し、吉松はそう言いながらミカを見る。
「あ、あぁ、すまない。梨紗。色々とバタついて渡しそびれていた……」
「?CD?歌手は……『鳴護アリサ』?」
「私が昔から推している歌手でね、旅先で運良く手に入ったたんだ。君と同じ名字だし、きっと気に入ってくれると思ってね……」
ミカから受け取ったCDを見ながらそう言う梨紗に対し、吉松は少しだけ悪い笑みを浮かべながらそう言った。
「今回のケースに当て嵌めるなら、一番先に狂わされるのは貴女達が交戦した、今日で六歳になる傭兵の娘ね。場合によっては新たな
「!?」
新たなリコリス……それはつまり自分と同じ孤児を自らの手で生み出す可能性があったことにたきなは思わず息を呑む。
「私は……」
「たきな。」
思わず口元に手をやるたきなに対し、梨紗は更に言葉を続ける。
「先に言うけど、私は貴女の考え方を責める気もなければ、否定する気もない。それも一つの『正義』だと思うから。でも、だからこそ、奪い狂わせてきた人達の人生を背負う『覚悟』を持ってほしい。」
「……背負う覚悟……」
「それともう一つ、常にDAの『正義』と
「姉さんにも私にも、錦木さんにもやりたいことがある……貴女はどうなの?井ノ上さん。」
「私は……」
「ま、まあまあ!とりあえずはさ。
「そうだな。反省会はそこまでにして、今は互いを労ったらどうだ?」
千景からの問いにたきなが良い淀むなか、千束とミカがそう助け船を出して幕引きを図る。
「そうね。いずれにしろ、騙したことへのお詫びはしなきゃと思ってたし……」
そんなミカの言葉に梨紗はそう言いながら、皿に盛りつけられたクレープをカウンターに置く。
「おぉ~っ!!クレープっ!!」
「生地は米粉を使って、あんことクリーム、苺を挟んでみたわ。」
「美味しそうぅ~っ!いただきますっ!!あ!たきな!座敷に座布団出してきて。」
「はい。」
「切り替え早いわねぇ~。」
「♪」
千束が梨紗の特製クレープを堪能するなか、たきなはそう言いながら座布団を出しに押し入れへと向かう。
「千景も二階の片付けとテーブル拭きをお願いできる?」
「はい。姉さん。」
梨紗も千景に用事を言いつけ、千景はそう返事しながら二階のイートインスペースに向かう。
「うえええええええっ!!?」
「「!?」」
少しした後、押し入れの方からそう言う千束の叫び声が聞こえてくる。
「どうしたの?」
「?」
「あっ!梨紗姉に千景!で、出たっ!座敷わらし!!」
「「……はぁ?」」
「ぬぐぐぐ……っ!!」
様子を見にきた二人がそう言いながら首を傾げるなか、千束はそう言いながら閉じられた押し入れをこじ開けようとする。
「どっせぇぇぇいっ!!」
バターーーンッ!!
「……ウォールナット?」
「……よっ。」
千束がこじ開けた先には座敷わらし……ではなく、ウォールナットことクルミがスパコン並みの何かを展開して居座っていた。
「あぁ、そういえば、今日から暫くは
「ちょっ!?梨紗姉~!忘れないでよ!座敷わらしかと思ったじゃん!!」
「どちらかと言えば、猫型ロボットじゃないかしら。押し入れだし……」
「ボクは奴程万能じゃないぞ。あくまで電脳戦専門だ。」
カランカラーン♪
「やあ、ミカ。」
「おぉ……シンジ、いらっしゃい。」
目を細めながらそう言う千景にクルミがそう言うなか、吉松が来店してくる。
「いらっしゃい、ヨシさん。何か召し上がりますか?」
「やあ、梨紗ちゃん。私からの土産は気に入ったかい?」
「?お土産、ですか?」
「先日、ロシアに行ってきてね。昼間、君がいなかったから、ミカに預かってもらったんだが……」
首を傾げながらそう聞き返す梨紗に対し、吉松はそう言いながらミカを見る。
「あ、あぁ、すまない。梨紗。色々とバタついて渡しそびれていた……」
「?CD?歌手は……『鳴護アリサ』?」
「私が昔から推している歌手でね、旅先で運良く手に入ったたんだ。君と同じ名字だし、きっと気に入ってくれると思ってね……」
ミカから受け取ったCDを見ながらそう言う梨紗に対し、吉松は少しだけ悪い笑みを浮かべながらそう言った。