ウォールナットを逃がせ!!

とあるオフィスビルの一室にて、窓から射し込む夕陽の陽射しを浴びながら、一人のスーツ姿の男がタブレットの画面に目を通す。

そこにはリスの着ぐるみ―――ウォールナットの死に様が映し出されている。

「……よく撮れているね。それで……彼の側にいるのは護衛か?」

『こ、殺した方が良かったですか?』

タブレットを机の上に置きながらそう尋ねるスーツ姿の男に対し、IP電話越しにロボ太はおずおずとそう聞き返す。

「いや。実に良い仕事だった。先月からの依頼はこれで完全に終了だ。長期間、お疲れ様。」

対するスーツ姿の男、吉松シンジはそう労いの言葉をかける。

「その内、また頼むよ……」

『へっ!日本最高のハッカーとなったこのロボ太にご用命とあらば、いつでもまた!それでは!!』

そうしてロボ太とのIP電話が切れる。

「『立つ鳥跡を濁さず』……それが君の良い所だよ。ロボ太君……『道具・・』らしくてね………」

IP電話が切れた後、吉松は窓から見える街並みを見下ろしながらそう呟いた。
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