そんな千景の心情を知る由もないたきなは着ぐるみ（ウォールナット）を引き連れて裏口付近に到着。周辺を警戒しながら千束や梨紗達を待つ。

「………」

が、そんなたきなを他所に着ぐるみ（ウォールナット）がタブレットに視線を落としながらまっすぐ裏口のドアへと歩んでいく。

「！？ちょっと！？」

「皆っ！出ないでっ！！」

ギィィ……

そんな着ぐるみ（ウォールナット）にたきながそう声を上げ、千束もそう言いながら追いつくなか、着ぐるみ（ウォールナット）は迷うことなくドアを開けて外に出る。

バァァァァンッ！！

「「！？」」

「………」

直撃、狙撃で放たれた弾がタブレットを貫通して、着ぐるみ（ウォールナット）の胸に直撃する。

ババババババババババババババババババババァァァンッ！！

そこから血が滲み出るや否や、容赦のない銃弾の雨が襲いかかる。

ドシャアァァ……ッ！！

瞬く間に蜂の巣にされた着ぐるみ（ウォールナット）は大量の血を吹き出しながら、その場で倒れ込む。

「ウォールナットッ！！」

「千束っ！たきなっ！！」

「今の銃声はっ！？」

たきながそう言いながら事切れた着ぐるみ（ウォールナット）に駆け寄るなか、梨紗と千景がそう言いながら合流してくる。

ガバッ！！

「！？」

「！？千束……っ！？」

直後、千束が振り向き様に梨紗の胸に顔を埋めるように抱きつく。

「ッ！失敗ですっ！護衛対象は死亡しましたっ！！」

『すぐに緊急車輌が到着する！遺体と荷物（・・・・・）を回収次第現場を離脱しろっ！！』

「了解です……っ！！」

「ごめん、梨紗姉……少しだけ、こうさせて……」

「……わかった……」

「………」

失敗の報告をしたたきながミカからそう指示を受けるなか、そう言いながら顔を埋める千束を梨紗はそう言って受け止めながらそっと頭を撫でてやった。





『やったぞっ！リーダー！！間違いなく一人十発は入れたっ！！』

「………」

対象（ウォールナット）への射殺に成功した部下からの嬉々とした報告を、ミハエルは黙って聞き入れる。

『どうする？護衛の女共も殺るかっ！？』

「……対象は始末した。なら、若い芽を摘む必要はなかろう……」

ミハエルはそう言いながら、梨紗に手当てされた右腕を見る。

「……引き上げだ。皆、家（うち）に帰ろう……」

『？お、おぉ、わかった……』

(悪く思うなよ……これが俺達の『仕事』だ……)

ミハエルはそう思いながら、素顔も知らぬウォールナットに黙祷を捧げた。