ウォールナットを逃がせ!!

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!

『大事なものだって言っただろぉっ!!大切に扱ってくれぇーーーっ!!!』

「……はぁ……」

購買ブースの方向から聞こえてくるアサルトライフルの銃声と着ぐるみウォールナットの悲痛な叫び声に何があったかを察した梨紗はそうため息を吐く。

(まぁ、今回はたきなは何も知らないんだし、仕方ないわよね……)

『あの……お嬢様、クルミさんを回収しないで宜しいのですか……?』

梨紗が冷静にそう判断するなか、光学迷彩で姿を消して千束達の近くに待機している深沙希からそう言う確認の特殊無線が入ってくる。

「あの程度の火力なら破壊されない。ちょっとしたお灸・・よ。」

『お灸……ですか……』

そんな深沙希にそう言う梨紗は今、右側の従業員用通用口辺りにある空段ボールの山に身を隠し、へカートを構えている。

「念のため、何かあった時にフォローできるようにスタンバイだけはしておいて。」

『承知致しました。』

そんななか、従業員用通用口から四人の傭兵…ミハエル隊が侵入してくる。

「先ずは軽いご挨拶・・・・・……」

ミハエル隊が侵入してきたのを確認した後、梨紗はそう言いながらへカートを構え直す。

ドォォォォンッ!バカァァァァンッ!

「ぐはっ!?」

「「「!?」」」

次の瞬間、梨紗のへカートから放たれた特殊な非殺傷弾が一人の傭兵の胴体に命中し、一発でダウンさせる。

「狙撃!?」

「しかもかなりの威力だぞ!?」

ダンッ!!

「!?」

「………」

二人の傭兵がそう困惑の声を上げるなか、梨紗はへカートの二脚を立てていた机の上に跳び上がって姿を見せる。

「へカートだとっ!?」

梨紗の手にあるへカートを見てミハエルがそう困惑の声を上げるなか、梨紗はへカートを近くの壁に立て掛け、代わりにCHGを取り出す。

(挑発のつもりか……)

その行動にミハエルがそう考えながら警戒するなか、梨紗は左腰に巻いているポーチの中に手を突っ込む。

ピィィィンッ!!

「「「!?」」」

次の瞬間、梨紗がポーチから取り出し、指で上へと弾かれた銃弾にミハエル隊の意識が向く。

「ッ!!」

その隙に梨紗は左手で左腰に下げられた鞘のようなものを押さえながら、ミハエル隊へと向かって駆け出した。
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