ウォールナットを逃がせ!!

「千束。」

その後、ミカがそう言いながら、アタッシュケースをカウンターの上に置く。

「それで?どれくらい急ぎ?」

「現在、武装集団に追われてる。」

そう尋ねながら愛銃と共にアタッシュケースに入ってた赤い弾頭の非殺傷弾、『フランジブル弾』をマガジンに込めていく千束に対し、ミカは冷静にそう説明する。

「おぉ、それは大変……たきな、千景。仕事の内容は聞いた?」

「はい。」

「吉松さんが来る少し前に聞きました。」

「OK。あぁ、それと昨日、話してたブツ、そこに置いてあるから帰りに持って帰ってね♪千景には前に頼まれてたチャンバラ系アクションが多いものを選んでおいたから♪」

千束がそう言いながら見つめる先には二つの紙袋が置いてあった。

「………」

二つの紙袋を一瞥した後、千景は一旦更衣室に入る。

ガチャッ!!

更衣室に入った後、千景は自身に宛がわれたロッカーを開ける。

中には竹刀袋があり、千景は神妙な表情でそれを取り出す。

(……ブラッディーリーフ………)

取り出した後、千景は一ヶ月前に出会した黒刀使いの少女、ブラッディーリーフのことを思い起こす。

(……彼女は絶対に止めてみせる……殺してでも………っ!!)

思い起こした後、千景はそう思いながら竹刀袋を力強く握りしめる。

「ん?そういえば、ミズキと梨紗姉は?」

「ミズキは現在、逃走経路の確保、梨紗は先に護衛として依頼人であるハッカーと行動を共にしている。」

その頃、二人がいないことに気付いた千束にミカはそう言って説明する。

「へぇ~、梨紗姉はともかく、ミズキも張り切ってるなんてめっずらしいぃ~。」

「今回の報酬は通常の三倍、一括の前払いだからな。」

「あぁ……どうりで……」

「それ程までに危機的状況ということだ。敵の数は十五人。その内三人はプロの傭兵で残りはプロ寄りのアマだ。」

「おぉ~、まるで映画みたいなシチュ♪」

「千束さん……」

ガチャッ!!

「プロの傭兵は私と姉さんが相手をするわ。」

マイペースにそう言う千束にたきなが呆れながらそう言うなか、サッチェルバッグを背負い、竹刀袋を右肩に担いだ千景がそう言いながら合流してくる。

「千景さん……」

「ブラッディーリーフとの戦闘に向けた良い肩慣らしになるわ……」

「肩慣らし……ですか……」

「おぉー!千景、やる気満々だねぇ♪」

「気を付けろ、三人とも。敵の武装にはライフルも確認しているからな。」

「了解♪行こっ、二人とも。」

「「はい。」」

カランカラーン♪

そうして三人は店を出て、駅へと向かった。
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