理想と現実

(しまった……っ!!)

「……やはり良い動きをするな。貴様。」ガキキ…

「くっ……何なのよ?貴女…」ガキキ…

「何者か、敵に言うと思うか?」ガキキ…

拮抗しながらそう尋ねる千景に対し、ブラッディーリーフは逆に聞き返す。

「そう、どうだって良いわ。私が言いたいのは…………どうして貴女を見ると、抑えられない怒りが湧くかということよっ!!」

「っ!?」

対する千景はそう言いながら、銃身の腹で受け止めた黒刀を右へ下へと流していく。

「フッ!!」

ドカァァァンッ!!

「ぐっ……!?」

同時に左脚を軸に回転し、がら空きになった脇腹を思いきり蹴り飛ばす。

「ッ!!」

ドォンッ!!ドォンッ!!ドォンッ!!ドォンッ!!ドォンッ!!

そうして距離を取った直後、千景はすぐさまデザートイーグルを構え、連続で発砲する。

「ッ!!」

ガキィンッ!!ガキィンッ!!ガキィンッ!!ガキィンッ!!ガキィンッ!!

が、ブラッディーリーフは全てを黒刀で弾きながら再び距離を詰め、斬りかかってくる。

「!?」

(リロードが間に合わないっ!くそっ!!)

「くっ!!」

ガキィィィンッ!!

そんなブラッディーリーフの技量に目を見張りながら、そう思いながら千景はデザートイーグルを逆手に持ち換えトンファーのようにして受け止める。

「くっ……!!」ガキキ…

受け止めたは良いものの相手は両手で握った黒刀でこちらは片手のトンファー。力の差は歴然であり、流石の千景も空いている左手で右腕を支える。

「“凶星”でも斬れぬとは……なかなか良い銃を持っている……」ガキキ…

「ッ……貴女こそ、良い刀持ってるわね……っ!!」ガキキ…

一種の鍔競り合いのような状態を維持しながらそう言うブラッディーリーフに対し、千景は平静を装いながらそう言う。

「!どうやら向こうも始めたようだな。」

ガシャンッ!!ガシャンッ!!

「!?」

ブラッディーリーフがそう言った瞬間、曲がり角の向こうからガラスが割れるような音が聞こえてくる。

「取り引きした銃の所在を吐きなさいっ!!」

直後にそう言うたきなの声が聞こえてくる。

ガシャンッ!!ガシャンッ!!バスンッ!!ガタンッ!!

更にライトやドアミラーが割れる音やタイヤがパンクする音が聞こえ、車が傾く音が聞こえてくる。

(井ノ上さん…!?まさか………っ!!目的のためには、手段を選ばないのね………っ!!)

「やはり例の写真から銃が既に連中に渡っていることに気付いていたか……」ガキキ…

千景が内心で悪態を吐くなか、ブラッディーリーフは冷静にそう言う。

「ぐぅ………っ!アクティブ!」

シャキンッ!!

「!?」

そんななか、千景がそう言った瞬間、左腰に小さく折り畳まされていたナイフ、『アーマーシュナイダー』が展開される。

千景はそれを左手で逆手に振り抜く。

「ッ!!」

対するブラッディーリーフは咄嗟に身を引き、千景の刃を避ける。

が、千景の振り抜いたナイフはブラッディーリーフのバイザーを僅かに捉え、切れ目を入れる。

「ッ……」

千景に接近戦能力があることを理解したのか、ブラッディーリーフは先程とは売って変わってすぐには斬り込まずに黒刀、『凶星』を構えたまま様子を見る。

「……」

対する千景もこの隙にナイフを構えたままマガジンを排出し、腰にマウントしてある予備弾倉を装填し再び逆手に持って接近戦に備える。

そうして二人は互いに隙を見ながら様子を伺う。

「この女がどうなっても良いのかぁーっ!?」

「ッ!!」

曲がり角の向こうから聞こえてくる、先行させた襲撃犯グループのリーダー格の怒声を皮切りにブラッディーリーフが仕掛けてくる。

「ッ!!」

ガキィィィンッ!!

「はぁっ!!」

左から斬りかかってきたブラッディーリーフの凶星を、千景は右手のデザートイーグルで受け止めると同時に左手のナイフで逆に斬りかかる。

「くっ!?…はぁっ!!」

一旦身を引いてナイフを避けてから、ブラッディーリーフは今度は右から斬りかかる。

「ッ!!」

ガキィィィンッ!!

ドォンッ!!

が、千景は左手のナイフでブラッディーリーフの凶星を受け止め、同時に持ち換えた右手のデザートイーグルでゼロ距離で発砲する。

「ちぃっ!!」

ブラッディーリーフはそれを紙一重で回避しながら再び距離を取った。
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