罪と罰
司令室・・・
「風鳴司令……ちょっと良いかしら?」
「!スィン博士……梨紗博士の側にいなくて大丈夫なんですか?」
時を遡り警報が鳴り響く少し前、そう言いながら司令室に入ってきたスィン博士に対し、風鳴司令はそう尋ねる。
「えぇ。少なくとも今回の『ZERO-SYSTEM』の負担は命に関わる程のものじゃないわ。」
「そうですか……して、お話というのは?」
「……あの遺跡、更には『棺』の中身についてよ。」
「!?もう何かわかったんですか!?」
「まだ本格的な解析はしてないから『仮説』の段階を出ないけどね。」
「はぁ……それで、スィン博士が立てた仮説はどのようなものでしょうか?」
「……あの遺跡ないしは『棺』の存在理由について。」
「!?」
「あの自動人形の数にしても『棺』の防衛機能にしても妙に『護りが強固にし過ぎている』と思わない?」
「言われてみれば確かに……」
自動人形の数や『棺』のことについて、そう言うスィン博士からの指摘に風鳴司令は同意を示す。
「……こうは考えられないかしら?あれらは『遺跡を護る』ためではなく、『『棺』の中身が解き放たれるのを防ぐ』ために造られた……」
「!?なんですって!?」
次の瞬間、そう言うスィン博士の仮説に風鳴司令はそう困惑の声を上げる。
「梨紗が起きていて体力が残っていたら、ZEROでそのことを予測してもらう手があったわ………できることなら、梨紗に負担は掛けたくないけどね………」
「確かに……あのシステムは予測演算速度は凄まじい反面、人体に掛かる負担は大きいのは見てわかります……『SONG 』としても今回の『棺』との戦闘のような必要に差し迫った状況でない限り、使用の許可も強要も容認できません……」
『ZERO-SYSTEM』の使用について、梨紗博士の身体を気遣うスィン博士に対し、風鳴司令も同意する。
「ありがとう……でも、現状でわかっていることもあるわ。」
対するスィン博士はそう言いながら、一つの資料を手渡す。
「?これは?」
「南極支部が『棺』のエネルギーを観測した時の記録よ。そこに記されている観測された日時をよく見て……」
「!?この日にちは……!?」
スィン博士に促され、『棺』のエネルギー反応が初めて観測された時の日時を確認した風鳴司令は驚愕の表情を浮かべる。
「そう……『SONG 』がまだ日本政府管轄の『特異災害対策機動部二課』だった頃、今はこちらに所属しているマリア・カデンツァブナ・イヴ、暁切歌、月読調の三人が当時、所属していた組織、『FIS』が引き起こした『フロンティア事変』……その渦中でマリア・カデンツァブナ・イヴが『Apple』を歌うことで人類の七十億人のフォニックゲインを集めた時期と一致しているわ……」
次の瞬間、スィン博士は真剣な表情でそう言う。
「まさか、『SONG 』が『棺』に眠る『何か』を目覚めさせたということですか!?」
「あくまで可能性の話よ。でも、梨紗も同じ可能性を示唆すると思うわ。」
動揺しながらそう言う風鳴司令に対し、スィン博士は冷静にそう言う。
「そうですか……そういえば、その梨紗博士が『ZERO-SYSTEM』を使用している際に口にした『ヒイロ』というのは……?」
「ッ!……ヒイロ・ユイ。私達の仲間で梨紗の大切な人よ。彼は最初のG装備装着者で今は私が梨紗と共に引き継いだ『吉田理論』の提唱者で恩師でもある梨紗の父、佑人博士が遺した最初の試作機を装着して、様々な任務に就いていたわ。」
「!?G装備の装着者が他にも!?いや、だとしたら、その人は今回の調査に参加していないのですか?」
「……数年前、ある事件の裏側で資源衛生が地球の引力に引かれて落下を開始。事件で世界が気付けないなかで彼は試作機で出撃してこれを破壊することに成功した。けど、その際の資源衛生の爆発と共にシグナルロスト……行方不明になってしまったの。」
「!?」
「最初は破壊時の電子パルスの影響だと思ったけど、未だに連絡も無ければ、機体のシグナルもない……梨紗は皆の前では気丈に振る舞っているけど、内心では不安になりながらも彼の帰りを今でも待っているのよ……」
「そんなことが……その『ある事件』とはどういうものなのですか?」
「………もう過ぎた事件よ。気にしなくていいわ。」
スィン博士から梨紗博士の恋人、ヒイロ・ユイに関する説明を聞いた後、彼が行方不明になるきっかけになった事件について、尋ねる風鳴司令に対し、スィン博士は憂いた表情でそう答える。
「……そうですか……」
「それと、梨紗には彼のことを聞かないであげて。きっと、いつも通りにはいられなくなるだろうから。」
「わかりました。肝に命じておきます。」
「ありがとう……」
「いえ。それと今後のことですが……」
ヴィーッ!!ヴィーッ!!
「「!?」」
スィン博士に風鳴司令が今後について、話をしようとした最中、艦内に警報が鳴り響いた。
「風鳴司令……ちょっと良いかしら?」
「!スィン博士……梨紗博士の側にいなくて大丈夫なんですか?」
時を遡り警報が鳴り響く少し前、そう言いながら司令室に入ってきたスィン博士に対し、風鳴司令はそう尋ねる。
「えぇ。少なくとも今回の『ZERO-SYSTEM』の負担は命に関わる程のものじゃないわ。」
「そうですか……して、お話というのは?」
「……あの遺跡、更には『棺』の中身についてよ。」
「!?もう何かわかったんですか!?」
「まだ本格的な解析はしてないから『仮説』の段階を出ないけどね。」
「はぁ……それで、スィン博士が立てた仮説はどのようなものでしょうか?」
「……あの遺跡ないしは『棺』の存在理由について。」
「!?」
「あの自動人形の数にしても『棺』の防衛機能にしても妙に『護りが強固にし過ぎている』と思わない?」
「言われてみれば確かに……」
自動人形の数や『棺』のことについて、そう言うスィン博士からの指摘に風鳴司令は同意を示す。
「……こうは考えられないかしら?あれらは『遺跡を護る』ためではなく、『『棺』の中身が解き放たれるのを防ぐ』ために造られた……」
「!?なんですって!?」
次の瞬間、そう言うスィン博士の仮説に風鳴司令はそう困惑の声を上げる。
「梨紗が起きていて体力が残っていたら、ZEROでそのことを予測してもらう手があったわ………できることなら、梨紗に負担は掛けたくないけどね………」
「確かに……あのシステムは予測演算速度は凄まじい反面、人体に掛かる負担は大きいのは見てわかります……『
『ZERO-SYSTEM』の使用について、梨紗博士の身体を気遣うスィン博士に対し、風鳴司令も同意する。
「ありがとう……でも、現状でわかっていることもあるわ。」
対するスィン博士はそう言いながら、一つの資料を手渡す。
「?これは?」
「南極支部が『棺』のエネルギーを観測した時の記録よ。そこに記されている観測された日時をよく見て……」
「!?この日にちは……!?」
スィン博士に促され、『棺』のエネルギー反応が初めて観測された時の日時を確認した風鳴司令は驚愕の表情を浮かべる。
「そう……『
次の瞬間、スィン博士は真剣な表情でそう言う。
「まさか、『
「あくまで可能性の話よ。でも、梨紗も同じ可能性を示唆すると思うわ。」
動揺しながらそう言う風鳴司令に対し、スィン博士は冷静にそう言う。
「そうですか……そういえば、その梨紗博士が『ZERO-SYSTEM』を使用している際に口にした『ヒイロ』というのは……?」
「ッ!……ヒイロ・ユイ。私達の仲間で梨紗の大切な人よ。彼は最初のG装備装着者で今は私が梨紗と共に引き継いだ『吉田理論』の提唱者で恩師でもある梨紗の父、佑人博士が遺した最初の試作機を装着して、様々な任務に就いていたわ。」
「!?G装備の装着者が他にも!?いや、だとしたら、その人は今回の調査に参加していないのですか?」
「……数年前、ある事件の裏側で資源衛生が地球の引力に引かれて落下を開始。事件で世界が気付けないなかで彼は試作機で出撃してこれを破壊することに成功した。けど、その際の資源衛生の爆発と共にシグナルロスト……行方不明になってしまったの。」
「!?」
「最初は破壊時の電子パルスの影響だと思ったけど、未だに連絡も無ければ、機体のシグナルもない……梨紗は皆の前では気丈に振る舞っているけど、内心では不安になりながらも彼の帰りを今でも待っているのよ……」
「そんなことが……その『ある事件』とはどういうものなのですか?」
「………もう過ぎた事件よ。気にしなくていいわ。」
スィン博士から梨紗博士の恋人、ヒイロ・ユイに関する説明を聞いた後、彼が行方不明になるきっかけになった事件について、尋ねる風鳴司令に対し、スィン博士は憂いた表情でそう答える。
「……そうですか……」
「それと、梨紗には彼のことを聞かないであげて。きっと、いつも通りにはいられなくなるだろうから。」
「わかりました。肝に命じておきます。」
「ありがとう……」
「いえ。それと今後のことですが……」
ヴィーッ!!ヴィーッ!!
「「!?」」
スィン博士に風鳴司令が今後について、話をしようとした最中、艦内に警報が鳴り響いた。