罪と罰

「なるほど………」

「多くの世界を巻き込んだ戦い……そんなことがあったとは……」

『………』

『ジニア動乱』とそのなかでノゾミが犯した『罪』についての説明を聞いた後、そう言う翼や風鳴司令を始めとした『SONG』の面々は複雑な表情を浮かべる。

「ノゾミ……」

「……すいません、やっぱり疲れが酷いんで、これで……」

そんななか、ノゾミは見えない方の目を片手で押さえ俯きながら、そう言いながらセッテと共に退出した。

廊下・・・

「ノゾミ……大丈夫?」

「うん、大丈夫だよ……セッテ……」

廊下に出た後、肩を貸して歩きながらそう尋ねるセッテに対し、ノゾミは涙を堪えている表情を見られないよう、未だに俯きながらそう答える。

(もう泣いちゃダメだ……これは私がこれからもずっと背負わなきゃいけない『罪と罰』なんだから……)

「ノゾミ……」

そんなノゾミの姿を見て、セッテは胸が締め付けられる。

「……ノゾミ……お願いだからもう、なんでも一人で抱え込まないで……」

「!?セッテ……」

「『約束』したでしょ……『ずっと傍にいる』って……あの時から私は一緒に背負う覚悟を決めたんだから……お願いだから、その『約束』を……『幻想まぼろし』なんかにしないで……」

(あの時のような思いは……もうたくさんだ……)

一度はすれ違ってしまった『ジニア動乱』の時のことを思い起こしながら、セッテは震えた声でそう言う。

「セッテ……」

(私が過去にしたことは変わらないし、変えられない……)

そんなセッテの言葉にノゾミは温かさを感じながらも頭の中で自分にそう言い聞かせる。

(……でも、この瞬間だけは……)

「……ごめん……でも、ありがとう……」

次の瞬間、ノゾミはそう謝罪と感謝の言葉を口にしながら、セッテと共に自分達に当てられた部屋へと向かった。
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