小さくなった新たな仲間

「さて、続いては戦闘の途中でまるで助っ人の如く乱入し、『棺』の鎮圧に貢献してくれた狼に関してだが……」

「いい加減に会議こっちに集中しやがれ!!二人とも!!」

「あ。すまない……」

「ごめんなさい。つい……」

そんななか、遂に痺れを切らしたクリスの一喝で先程まで千景を愛でていた翼とマリアは一旦意識を話し合いに向ける。

千景を愛でる手は止めないまま。

「たくっ……」

「……雪那君、この狼は君達と同じように別世界から来た可能性があるのだな?」

「はい。現場でも説明したようにこの狼は結界や分身、更にはテレパシーといった異能を発動させるのに私達、魔導士と同じ魔力といったエネルギーを宿し、使用している生き物だと思われます。身体が小さくなったのは自力で歩行すら困難になったノゾミさんと同じように体内に保有するエネルギーを著しく消費してしまったために、エネルギーの必要以上の消費を抑え且つ回復させるためかと……」

「なるほど……そのエネルギーがどのくらいの期間で回復するかはわかるか?」

「魔導士は一晩寝ればある程度は回復しますが、動物は予測が着かないですね……」

「そうか……」

「となると、すぐに意思疏通を図って事情を聴くのは無理ですね。」

「ねぇ、狼さんも魔力を使ってお喋りするんなら、その魔力を回復させるお薬みたいなものってないかな?」

「あぁ!ゲームに出てくる『魔力回復ポーション』ってやつデスね!!」

「アホか!そんな都合の良いもん、実際にある訳」

「いや、私達が元いた世界ならあるにはありますが……」

「あんのかよ!?」

「ただ、残念ですが、今の私達は全員、持ち合わせてないですね。」

「……まぁ、持ち合わせてたらとっくにノゾミに使ってるよな……」

「それもそっかぁ……」

「作ろうにも材料は恐らくノゾミさんや雪那さん達の世界で原生しているものでしょうからこちらで作るのは無理ですね。」

「残念デス……」

「まぁ、なんだ……結局のところ、その狼はテレパシーで事情を説明できるまで回復する間、ノゾミ君達同様、『SONG』で保護することになるな。」

「師匠。狼さんのお世話は誰がするんですか?」

ポーションは作れないというエルフナインの言葉に切歌が残念そうにそう言うなか、千景の処遇について、そう言う風鳴司令に対し、響はそう尋ねた。
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