棺を護りしもの

「うわぁ……凄く明るくなった!!」

「この光量………照明弾の比じゃないわね……」

「“ホーリーライト”……ただ明かりを照らすだけの光の初級魔法です。」

雪那の魔法、“ホーリーライト”によって明るくなった辺りを見ながらそう言う響やマリアに対し、雪那はそう説明する。

「本当に魔法のある世界から来たんだな……」

「『凄い』と言いたいところだけど、今はそういう訳にはいかないわね……」

「「「!?」」」

「「「ッ・・・」」」

スィン博士がそう言いながら見つめる先には巨大な『棺』のようなものと腐敗が進んでいない六人の調査隊の遺体があった。

「危険性を考慮して遺体の回収班は出されなかったとは聞いていたけど………」

「南極の氷に閉ざされた遺跡内の気温が腐敗を防いでいたのか………」

「……一翔………」

遺体の状態について、マリアと翼がそう言うなか、スィン博士はそう呟きながら比較的綺麗な状態で横たわる夫の亡骸に歩み寄る。

「長い間、待たせてごめんなさい……迎えにきたから………」

次の瞬間、スィン博士はそう言いながら夫の亡骸を優しく抱き締める。

「スィンさん………」

「「「「「・・・」」」」」

そんなスィン博士の姿に響やノゾミ達は切ない気持ちになる。

(お母さん………ッ!?)

「「「「「「!?」」」」」」

ドンッ!!

そんななか、銀の影がスィン博士に向かっていく。

「危ない!!」

ノゾミはそう言いながらスィン博士と影の間に割って入る。

Hoplightホプリグト ikutachiイクタチ tronトローン

ガキィィィンッ!!

次の瞬間、ノゾミは聖詠を歌うと同時に顕現したアームドギアの機械的な刀でスィン博士を襲おうとした影が振り下ろしてきた刃を受け止める。

パァァァ・・・パキィィィンッ!!

受け止めた直後、ノゾミは光に包まれながらノースリーブの黒いスーツに腕は手首までのスーツと同じくぴったりとしたグローブ、胸と脚の膝上から先は白銀の機械的な武装に包まれ、龍の角のようなヘッドギアを装着した姿・・・シンフォギア 『生太刀いくたち』を身に纏った。

「あれがノゾミちゃんのシンフォギア………」

「くっ!!」

ガキィィィンッ!!

響がそう言うなか、ノゾミは生太刀でスィン博士を襲おうとした『何か』の刃を弾き上げ、

「はぁっ!!」

ズバァァァンッ!!

一閃して『何か』を横に真っ二つにする。

『スィン!大丈夫!?』

「梨紗……えぇ、大丈夫よ。ノゾミが助けてくれたわ………」

「ノゾミ!スィンさん!!」

「大丈夫か!?」

数秒遅れてそう通信してきた梨紗博士にスィン博士がそう答えるなか、セッテや翼達もそう言いながら合流する。

『翼!何があった!?』

「司令……先程、恐らくアヌンナキが造り出した防衛機構と思われる、自動人形オートスコアラーがスィン博士を襲撃しました。ノゾミが迎撃したのでスィン博士は無事です。」

『自動人形だと!?』

「と言っても、私達がこれまで遭遇した自動人形とは大分形状が異なるようですが………」

通信の向こうでそう困惑の声を上げる風鳴司令に対し、翼は先程、ノゾミが真っ二つにした、鏡のような仮面を着け、両腕と足裏に刃が付いた骨格のみの姿をした自動人形を見下ろしながらそう報告する。

『SONG』、本部・・・

「調査隊は自動人形に殺されたんですね……」

「自動人形というのは確か錬金術師が作成・使役する人形でしたね。」

「えぇ。ご存知でしょうが我々、『SONG』が以前、壊滅させた錬金術師の組織、『パヴァリア光明結社』のトップ、アダム・ヴァイスハウプトもティキという聖遺物を使った自動人形を使役し、アダム自身も元はアヌンナキが『人類ヒトのプロトタイプ』として造り出した人形です。」

翼からの報告に緒川がそう言うなか、そう言う梨紗博士に対し、風鳴司令は真剣な表情でそう説明する。

「アヌンナキも同様の技術を持っていてもおかしくないって訳ね……」

ビィーッ!!ビィーッ!!

『!?』

そんななか、警告音が本部内に鳴り響く。

「藤堯!何が起きた!!」

「遺跡内に新たにエネルギー反応が多数!スィン博士と装者達に向かってきます!!」
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