棺を護りしもの
「な、なにこれ!?ほんのり甘くて温かいけど……それ以上に酸っぱい………」
「梨紗が私用によく作ってくれるレモン果汁多めのホットレモネードよ。結構イケるでしょ………」
自分が薦めた、梨紗博士が手作りしたホットレモネードを飲んで悶絶するノゾミを他所にスィン博士はそう言いながら普通に飲む。
「確かにほんのり甘くて、暖かくて美味しいですけど……それ以上に酸っぱい………」
「そのレモンの酸っぱさが良いのよ。気を紛らわすだけでなく、ちょっとした気付けにもなったでしょ?」
未だに少しだけ悶絶しながらそう言うノゾミに対し、スィン博士は優しい笑顔でそう言う。
(あ………)
スィン博士が見せた、『ウェズペリア 』の方の『母親』と全く同じ笑顔を見て、痛みが和らぐと同時にノゾミの胸の内がホットレモネードの暖かさとは違う温もりに包まれる。
「………ありがとうございます。スィン博士。」
(ありがとう……お母さん………)
次の瞬間、ノゾミはスィン博士にそうお礼を言いながら、心の中で再度そうお礼を言う。
「どういたしまして。」
「翼さん……先程のご忠告、ありがとうございます。確 りと胸に刻みます………」
(もう二度と、セッテをあんな目に遭わせないためにも………)
「あぁ、この世界にいる間は君達も私達と同じ装者で『SONG』の仲間だ……何かあれば、抱え込まずに頼ってほしい………」
「翼さん………」
「よぉーしっ!皆で頑張ろう!!オーッ!!」
「フフ……相変わらずね。響は。」
優しい笑顔でそう言う翼にノゾミがそう言うなか、笑顔で片腕を上げながらそう言う響にマリアは笑顔でそう言う。
「!?」
そんな翼達の姿にノゾミは『ハルシオン世界』で共に戦った仲間である勝利や理緒達を思い出す。
(この人達も勝利君や理緒達と同じなんだ。仲間を信じて、お互いに支え合っている………
『笑顔で、皆で帰れるように』
そうだ。前になのはさんにも言われたんだ。大切な人達と一緒に生きていけるように、皆で探していこうって………)
ノゾミはそう思いながら改めて響達を見る。
(その答えを探すためにも、この人達の背中を追っていこう………あの世界で私が手にかけた、あの人達に報いるためにも………)
新たな決意を胸にしながら、ノゾミが響やセッテ達と共に進むなか、一行は未だ暗いが拓けた場所に出る。
「ここよ。調査隊が全滅した地点は………」
「「「ッ………」」」
「暗いですけど、広い場所みたいですね……」
冷静にそう言うスィン博士の言葉にノゾミ、セッテ、雪那の三人が苦い表情を浮かべるなか、響はそう言いながら辺りを見渡す。
「旧観測基地から回収できた資料によるとここが遺跡の最奥ということになるけど……梨紗。本部 から見て何か気になる反応は?」
『そうね……資料と『SONG』の設備のおかげで遺跡内部のおおよその構造は把握できてるけど、今のところは調査隊が入るきっかけになったエネルギー反応の他にもう一つ、最初のエネルギー反応と比べて小さいエネルギー反応が貴女達の近くにあるということくらいかしら………』
そんななか、辺りを警戒しながらそう尋ねるスィン博士に対してそう答える、風鳴司令と共に『SONG』本部から指揮とバックアップに当たっている梨紗博士の声が一行のインカムから聞こえてくる。
「やっぱり、ここで何かがあったのね………」
『えぇ、もう一つの反応に関しては多分、最初に観測されたエネルギー反応に紛れちゃってたんだと思う……』
『とりあえずこちらでも引き続き、エネルギー反応等を確認するが、そちらでも警戒してくれ。』
「了解しました。」
「それにしても暗いですね……」スッ
ポォ・・・ッ!!
通信越しにそう言う風鳴司令に翼がそう返事するなか、雪那はそう言いながら左手の掌に光の球を作り出す。
ヒュッ!パアアアァァァッ!!
雪那が光の球を天井近くまで投げつけた瞬間、光の球はギリギリ当たるか当たらないかの位置で静止し、強い明かりで辺りを照らした。
「梨紗が私用によく作ってくれるレモン果汁多めのホットレモネードよ。結構イケるでしょ………」
自分が薦めた、梨紗博士が手作りしたホットレモネードを飲んで悶絶するノゾミを他所にスィン博士はそう言いながら普通に飲む。
「確かにほんのり甘くて、暖かくて美味しいですけど……それ以上に酸っぱい………」
「そのレモンの酸っぱさが良いのよ。気を紛らわすだけでなく、ちょっとした気付けにもなったでしょ?」
未だに少しだけ悶絶しながらそう言うノゾミに対し、スィン博士は優しい笑顔でそう言う。
(あ………)
スィン博士が見せた、『
「………ありがとうございます。スィン博士。」
(ありがとう……お母さん………)
次の瞬間、ノゾミはスィン博士にそうお礼を言いながら、心の中で再度そうお礼を言う。
「どういたしまして。」
「翼さん……先程のご忠告、ありがとうございます。
(もう二度と、セッテをあんな目に遭わせないためにも………)
「あぁ、この世界にいる間は君達も私達と同じ装者で『SONG』の仲間だ……何かあれば、抱え込まずに頼ってほしい………」
「翼さん………」
「よぉーしっ!皆で頑張ろう!!オーッ!!」
「フフ……相変わらずね。響は。」
優しい笑顔でそう言う翼にノゾミがそう言うなか、笑顔で片腕を上げながらそう言う響にマリアは笑顔でそう言う。
「!?」
そんな翼達の姿にノゾミは『ハルシオン世界』で共に戦った仲間である勝利や理緒達を思い出す。
(この人達も勝利君や理緒達と同じなんだ。仲間を信じて、お互いに支え合っている………
『笑顔で、皆で帰れるように』
そうだ。前になのはさんにも言われたんだ。大切な人達と一緒に生きていけるように、皆で探していこうって………)
ノゾミはそう思いながら改めて響達を見る。
(その答えを探すためにも、この人達の背中を追っていこう………あの世界で私が手にかけた、あの人達に報いるためにも………)
新たな決意を胸にしながら、ノゾミが響やセッテ達と共に進むなか、一行は未だ暗いが拓けた場所に出る。
「ここよ。調査隊が全滅した地点は………」
「「「ッ………」」」
「暗いですけど、広い場所みたいですね……」
冷静にそう言うスィン博士の言葉にノゾミ、セッテ、雪那の三人が苦い表情を浮かべるなか、響はそう言いながら辺りを見渡す。
「旧観測基地から回収できた資料によるとここが遺跡の最奥ということになるけど……梨紗。
『そうね……資料と『SONG』の設備のおかげで遺跡内部のおおよその構造は把握できてるけど、今のところは調査隊が入るきっかけになったエネルギー反応の他にもう一つ、最初のエネルギー反応と比べて小さいエネルギー反応が貴女達の近くにあるということくらいかしら………』
そんななか、辺りを警戒しながらそう尋ねるスィン博士に対してそう答える、風鳴司令と共に『SONG』本部から指揮とバックアップに当たっている梨紗博士の声が一行のインカムから聞こえてくる。
「やっぱり、ここで何かがあったのね………」
『えぇ、もう一つの反応に関しては多分、最初に観測されたエネルギー反応に紛れちゃってたんだと思う……』
『とりあえずこちらでも引き続き、エネルギー反応等を確認するが、そちらでも警戒してくれ。』
「了解しました。」
「それにしても暗いですね……」スッ
ポォ・・・ッ!!
通信越しにそう言う風鳴司令に翼がそう返事するなか、雪那はそう言いながら左手の掌に光の球を作り出す。
ヒュッ!パアアアァァァッ!!
雪那が光の球を天井近くまで投げつけた瞬間、光の球はギリギリ当たるか当たらないかの位置で静止し、強い明かりで辺りを照らした。