棺を護りしもの

ヘリ内・・・

「改めて確認するけど、今回の任務は非常に危険よ。現に熟練の調査隊が全滅している……そのことを忘れないで。」

「了解です。我々も気を引き締めて責務を果たします。」

数週間後、南極付近の海域まで移動した『SONG』本部から問題の古代遺跡への入り口である洞穴までヘリで移動している最中、ヘリ内にて、真剣な表情でそう言うスィン博士に対し、翼が代表してそう言う。

因みにポッピーもノゾミと一体化して同行している。

「あのアダムを創ったカストディアンが遺した古代遺跡………」

「一体どんな罠が待ち受けているか………」

「罠に関しては私が夫に緊急連絡を取るまでの調査隊のバイタルデータを見る限り、少なくとも行きはないと判断しているけど………」

「油断できないわね。」

「あぁ。文字通りの『ミイラ取りがミイラ』にならねぇようにしないとな……」

古代遺跡について、そう言いながら息を呑む調と切歌にスィン博士がそう言うなか、マリアとクリスは真剣な表情でそう言う。

「ッ……」

「!?だ、大丈夫ですか?スィンさん。」

そんななか、口元を押さえだすスィン博士に対し、響は多少なりとも狼狽えながらそう言って体調を気遣う。

「えぇ、大丈夫よ。」

対するスィン博士はそう言いながら、腰に携帯していたボトルに淹れておいた飲み物を口にする。

「ふぅ……」

「………」

「……スィン博士。一つ良いですか?」

「なにかしら?」

「……本当に案内役として同行しても大丈夫なのですか?時折、顔色が優れないように見受けられます……」

そんなスィン博士別世界の母の姿をノゾミが注視するなか、翼は真剣な表情でそう尋ねる。

「気遣いありがとう。でも、大丈夫よ……あの人が見たものを私もちゃんとこの目で見たいしね………」

「………」

(お母さん………)

『もうすぐ古代遺跡の入り口の洞穴に到着します。』

強い覚悟を決めた目でそう言うスィン博士の言葉にノゾミがそう思うなか、パイロット席からそう言うアナウンスが聞こえてくる。

「よし。古代遺跡に突入するのは私とスィン博士、マリア、立花、ノゾミ、セッテ、雪那の七人。雪音と暁、月読は退路を確保するため、ヘリで待機。緊急事態に備えてほしい。」

「「「「はい!!」」」」

「「了解(デス)!!」」

「切歌と調をお願いね。クリス。」

「あぁ、任せとけ。」

着いた後の役割分担について、そう指示する翼にノゾミ、セッテ、雪那、響、切歌、調の六人がそう返事をするなか、そう言うマリアに対し、クリスは真剣な表情でそう言う。

そうしてヘリは洞穴付近に到着、着陸した。




洞穴前・・・

「うわぁ……大きな洞穴ですねぇ……」

周囲は氷で覆われながらもまるでこちらをいざなうかのように開いた洞穴の大きさに響は思わずそう声を上げる。

「この洞穴……人の手で開けられたものではないですね………」

「まるで元は塞いでいた氷が内側からの熱で溶けたみたいね。」

「恐らく私達、南極支部が観測した時、奥にある『何か』から発せられた高熱エネルギーで溶けて道が開かれたと思うわ。」

洞穴を調べながらそう言う雪那とマリアに対し、スィン博士は冷静にそう言う。

「では、突入する際の隊列だが、先頭は私と案内役のスィン博士、二番目はノゾミ、三番目は立花、四番目はセッテ、五番目は雪那、最後尾はマリアの順で行く。」

「「はい!!」」

「わかりました!!」

「了解です。」

「わかったわ。」

隊列について、そう指示する翼に対し、ノゾミとセッテ、響、雪那、マリアの五人はそう言って了承する。

「尚、スィン博士が言うようにこれから突入するのは熟練の調査隊を全滅まで追い込んだ、あのアダムを造り出したアヌンナキカストディアンが遺した古代遺跡だ。どのような罠が存在しているかわからない。各自、警戒もしておいてくれ。」

「「「はいっ!!」」」

「「了解(よ)です。」」

「それじゃあ、参りましょうか。」

そうして七人は古代遺跡へと突入した。
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