補習と歯車と夢と・・・

第三者Side、翌日、『私立リディアン音楽院』、廊下・・・

♪~♪~

時間は午後三時近く、窓から差し掛かる夕焼けの光に校内が照らされるなか、音楽室からピアノの音色と少女の歌声が響き渡る。

「どう?」

「ビッキー、歌ってる……多分、大丈夫……だと思うけど………」

「立花さん、ファイトです……っ!!」

廊下でそう尋ねる濃い茶髪のツインテールの少女、板場いたば弓美ゆみに灰色の髪のボーイッシュな少女、安藤あんどう創世くりよがそう言うなか、金髪のロングヘアーのお嬢様のような少女、寺島てらしま詩織しおりがそう言う。

「………」

「♪~♪~」

響と未来の友人である三人の少女がそう言いながら覗くドアの隙間の先には、未来のピアノ演奏に合わせて歌う響の姿があった。

「………」

傍らには補習の担当である担任教師もいて、その歌声に耳を傾けている。

「……はぁ……はい。合格です。」

「ぃやったぁーっ!!」

「良かったね。響。」

「へへ~♪ぶいぶい♪」

「立花さんっ!!」

「ひゃ、ひゃいっ!!」

「合格は合格ですが、まだまだ学ぶべき技術はたくさんありますよっ!!」

「ハイ。メンボク、シダイモ、ゴザイマセン……」

「ですが、聴いていてとても心地良い歌声でした……きっと立花さんは『心』で歌っているのでしょうね………」

「心……胸の歌……先生ぃーっ!!」

笑顔でそう賛辞する担任に対し、響はそう言いながら抱きつこうとする。

「(スカッ)では、これで補習のテストは終了です。お疲れ様でした……」

が、担任は軽くかわしながら音楽室から出ていく。

「それじゃあ、帰ろうか。響……今日はクリスの誕生日プレゼントを一緒に選ぶんでしょ?」

「………うん……」

廊下・・・

「やった!やった!!合格だって!!」

「まったく……ヒヤヒヤさせて………」

「それじゃあ、私達も帰りましょうか……」

響の合格を聞いた創世、弓美、詩織の三人も嬉しそうにしながら、そう言いながら帰路に着く。





「誕生日プレゼント、良いのが見つかって良かったね。」

「うん♪クリスちゃん、喜んでくれると良いなぁ……」

時間は過ぎ、空がすっかり暗くなるなか、誕生日が近いクリスへのプレゼントを無事に購入した未来と響は笑顔でそう話しながら帰路に着く。

「大丈夫だよ、きっと……」

「へへ……」

「フフ……」

『続いて、月面開発に関するニュースです。』

「ッ……」

そんななか、店先に出ているTVからそう言うニュースが流れ、それが響の目に止まる。

『日米共同での宇宙開発プロジェクトは閣僚級協議を経て今、大幅に進展―――冷えきった日米関係の修復のため、月面への『第一歩』がもうじき―――』

「……月………」

「響ぃーっ!!なにやってるのぉーっ!?」

その場で立ち止まりながら、そう言いながらTVに映る宇宙ロケットを観る響に対し、未来がそう話しかける。

「あぁっ!ごめんっ!お腹空いちゃってっ!!」

「もう……じゃあ、響のおごりね。」

「あはは……しょうがないか………」  
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