惨劇のライブ

パァー……ププー……

「久しぶりのライブだよ!翼さんの凱旋ライブだよ!!」

三日後の凱旋ライブ当日、ノゾミ達や響達は二台のリムジンに別れて乗り、会場に向かっていた。

「なのにこのままじゃ間に合わないよぉ~っ!!」

「渋滞なんだからしょうがねぇだろっ!!」

が、運が悪いことに交通渋滞に嵌まって嘆く響に対し、クリスがもう一台のリムジンの窓越しにそう言って宥める。

「はぁ……やっぱり私、呪われてるかも……」

「あはは……」

渋滞この程度で呪われてるって……」

項垂れながらそう言う響に同乗しているノゾミが苦笑いを浮かべるなか、同じく同乗している明日那ポッピーも苦笑いしながらそう言う。

「運が悪いといえば、マリアもツイてなかったデスね。」

「うん。当日になって用事ができちゃうなんて……」

「しかし、ライブですか……初めての経験なので少し楽しみですね……」

「私は前の修学旅行でカオリさんのを観たことがあるけど、本格的なのは初めてだなぁ~。」

クリスと同じリムジンに乗っている切歌と調がそう話しているなか、同乗している雪那とセッテはそう言う。

「?二人がいた世界じゃアイドル歌手とかいなかったの?」

「私が元いた『第九世界せかい』では吟遊詩人はいましたが、『アイドル歌手』というものはありませんでしたね。」

「「吟遊詩人?」」

「わかりやすく言えば、ストリートミュージシャンってやつだ。旅しながら詩や音楽を自作して、各地で披露してんだよ。」

雪那が口にした『吟遊詩人』というワードに首を傾げながらそう言う切歌と調に対し、クリスがそう説明する。

「「へぇ~。」」

「因みに私がいた『ウェズぺリアところ』じゃカオリさんっていうアイドル歌手はいたけど、私自身が本格的なライブに行ったことがないんだよ。」

「あ。そういえば、燐さんはどうしたの?」

「そうだった!翼さんのライブだから、誰よりも一番楽しみにしてると思ってたんだけど!!」

そんななか、どっちにも乗っていない・・・・・・・・・・・燐のことについて、未来と響がそう尋ねる。

「あぁ……燐については……その……」

「あ、あはは……」

「「?」」

そんな二人に対し、明日那とノゾミは何故か渇いた笑みを浮かべながら、歯切れが悪そうにしながらそう言った。





十数分前、『SONG』、燐の部屋・・・

「燐さぁーん?」

「そろそろ響達と一緒に翼さんのライブに行く時間だけど……」

時を遡ること十数分前、ノゾミと明日那はそう言いながら、『SONG』で割り当てられた燐の部屋を訪れる。

「「あれ?」」

が、そこには既に燐の姿はなく、代わりに一通の置き手紙が机に置かれていた。

置き手紙の内容
『先に飛んでいく。
響達への誤魔化しは任せた(・ω・)ノシ!!

PS.不可視ステルスの魔法も使って飛ぶからと弦十郎のダンナからは許可取ってるので悪しからず。』

「「………えぇえぇぇえええぇええぇぇぇえぇええぇぇええぇえぇぇえええぇええぇぇぇえぇええぇぇぇえぇえぇぇええぇっ!!?」」

次の瞬間、二人の困惑の叫びが艦内に響き渡った。
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