装者達の日常と災厄の予兆

その頃、三日後に凱旋ライブを控えた翼は練習用に借りたライブハウスにて、パフォーマンスの練習に励む。

が、プロデューサーが満足のいくようなパフォーマンスができずにいた。

「翼さん……何かに心を奪われているみたいですね……」

そんな翼の様子を舞台裏から観ていた緒川は真剣な表情でそう呟く。

「………」

「?マリアさん?」

「アンッ!」

「ッ……そ、そうね……任務の合間に千景と一緒に陣中見舞いに来てみれば、この体たらくなんてね……」

そんな緒川の隣でマリアは千景を抱き抱えながら、サングラスをかけ直しながらそう言う。

「翼さん、一旦休憩入りまぁーす!!」

そんななか、そう言うスタッフの声と共に翼が舞台裏に移動してくる。

「お疲れ様です。翼さん。」

「アンッ!」

「……いえ。あれではダメだというのは私自身、よくわかっています……」

「……世界に再び脅威が迫るなか、気持ちはわかるけど……舞台ステージの上も、貴女にとっての戦場いくさばでしょ?」

「ッ……そうなのだが南極からの帰還途中、あんなことがあったというのに、果たして私が立っているべき場所はここなのだろうか……」

マリアからの指摘に翼はそう言いながら、聖骸を狙って襲撃してきたエルザのことを思い起こす。

「……我々『SONG』もまた、南極の地で回収した遺骸の警備に当たるべきでは?」

「気持ちはわかるわ。でも、自動人形と『棺』、そして聖骸についての分析調査は米国主導で行うことが各国機関での話し合いで決まったってスィン博士と梨紗博士の二人も言ってたじゃない。」

「日本政府と『SONG』にこれ以上聖遺物に関わらせたくないという国は米国以外にもたくさんありますからね。」

「ッ……今ならノゾミ達や奏もいます!『SONGわれわれ』が警備に就けば、被害は限りなく0に抑えられ(バチンッ!)痛っ!?」

話の途中でマリアが翼にデコピンを食らわせる。

「……今はやるべきこと、やれるだけのことをやるしかないの……『舞台ステージの上に立って歌を届ける』のもまた、貴女の大切な役目でしょ?」

「アンッ!」

「むぅ……不肖不肖ながら了承しよう……しかし、その代わり、一つだけ条件が……」

「?」
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