異なりし“力”

「データ収集完了。異世界の聖遺物ね………」

「梨紗、どうだった?」

一方その頃、管制室でノゾミ達四人の模擬戦の情報データ確認チェックしていた梨紗博士に対し、後から来たスィン博士がそう尋ねる。

「四人とも高い実力を持っている。三人は少し熱くなりやすいみたいだけど……」

「三人というと………ノゾミとセッテ、雪那の三人かしら?」

「正解。艦内での模擬戦だというのに、広範囲高火力を使っていたわ。」

「あらあら。それで性能は?」

「燐のガングニールは天羽奏時代の総合スペックを大幅に引き上げた感じね。戦闘センスも判断力も良い。
ノゾミの生太刀は天羽々斬に近い。エネルギー属性は風のようだけど、花弁を形取っているのは少し気になるわね。戦闘センスは良いけれど、まだまだ甘さがあるし得物に頼りがちな所がある。」

「燐は前の経験を活かしているけど、ノゾミはまだ子供だものね。」

「セッテのミョルニルは伝承通り雷属性。それを利用した高機動に持ち前の磁力を活かしている。雷エネルギーをどう使えば良いのか、手本を知っているかのような動きに思えたわ。欠点は相手の行動を推察しきれていないところね……」

「ああ………大技の全範囲攻撃でどうにかしようとする事が多いわね。悪くはない手だけど、隙を晒したり逆手に取られる可能性もあるわよね。」

「そう。事実、雪那は逆手に取っていた。
雪那のトリアイナは氷属性のトライデント。三人の中で一番力の制御が出来ている。トリッキーな戦法で相手を翻弄したり、相手の動きを利用した展開を作ったりしていたわ。」

セッテと雪那の模擬戦の映像を観ながら、苦笑いしながらそう言うスィン博士に対し、梨紗博士は冷静にそう言う。

「へぇ………因みにこの決着、何をしたの?」

「ここまでの戦闘で室内に多量の水分が充満していた。更にセッテの雷によって電気分解され、水素も多量に生成された。そこに火花が散ったら?」

「水素爆発に水蒸気爆発…………模擬戦に使うにはオーバーね。」

「そういう事。冷静沈着で涼しい顔して、意外にも乗りやすいのかもね。」

「まだまだ問題点はあるけど、みんな将来有望ね。」

「ええ……」

ピピッ!……ピピ……ッ!

「?通信?エルフナインからだわ。はい、吉田です。」

『梨紗博士、エルフナインです。先ほど、メディカルチェックの結果が出たのですが………』

そんななか、深刻な表情でそう言うエルフナインからの通信が入ってくる。

「あー、エルフナイン?その話はまた後で……」

『何ですかこの結果は!?お体がボロボロじゃないですか!?こんなの命が幾つあっても足りませんよ!?』

「…は?」

「…………」

エルフナインから告げられた診断結果にスィン博士は思わず低い声でそう言うなか、梨紗博士は冷や汗をダラダラと流し始める。

『もう一度来て下さい!精密検査をします!このままでは早死にしかねません!』

「エルフナイン?私も同席していいかしら?絶対に、連れて行くから。」

『お願いします!ではお待ちしてますね!』

そうしてエルフナインとの通信が終了する。

「あ、あの、スィン?これには深い理由が……」

「後でゆっくりと、聞かせてもらうわ。まずはエルフナインの所に行きましょうね?」

「…………はい。」

黒い笑みを浮かべながら、そう言いながら左肩に手を置くスィン博士に対し、梨紗博士は小刻みに震えながら小声でそう言った。
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