異なりし“力”

特殊訓練場・・・

「そういえば、ノゾミとこうやって戦うのは初めてだったか?」

「そうですね。敵同士だった頃あのころの燐さんはいつもアキちゃんと戦ってましたし。」

「だねぇ~。」

昼食を終えてから十五分後、特殊訓練場で対峙しながらそう言う燐に対し、ノゾミとポッピーはそう言う。

「異世界から来た装者同士の戦い………」

「なんか緊張してきた……」

「落ち着いて。響。」

「なんだかドキドキするですね、調。」

「うん。切ちゃん。」

「まぁ、確かに気にはなるな……」

そんな三人の様子を、訓練場の隅でセッテと雪那と共に見ながらマリア、響と未来、切歌と調、クリスの六人はそう言う。

「それじゃあポッピー。」

「OK。」

パァァァ……

ノゾミがそう言った瞬間、ポッピーがそう言いながらオレンジの粒子になってノゾミの中に流れ込む。

「なんかあんなのを見ると、改めて異世界から来たんだというのがわかるな……」

「そうね……」

Hoplightホプリグト ikutachiイクタチ tronトローン

クリスとマリアがそう言うなか、ノゾミは生太刀の聖詠を口にする。

何かを求めるように片手を前に突き出すと、ノゾミの鳩尾を中心にして袖はなく、ノースリーブとなっていて脚は膝までの黒のインナースーツが生成されていく。

突き出すのをやめて下ろされた腕には手首までを、インナースーツのものと同じグローブが纏われる。

胸と、脚の膝上から爪先までを白銀の武装が組み立てられていき、完了すると同時に完成を意味するように蒸気のようなものを放つ。

体を丸めて両手で頭を抱えるとそこから光が放たれる。

体を伸ばすと同時に反射的に頭から両手を離すと、ドラゴンの角のようなヘッドギアが構築される。

アームドギアが左腰に帯刀されるような形で出現すると、右手で柄を掴んで抜刀するように振るってから構えた。

パキィィィンッ!!

次の瞬間、ノゾミはシンフォギア 生太刀を身に纏った。

「……Croitzalクロォーイツァ ronzellロンゼェル Gungnirガングニール zizzlツィール

生太刀を身に纏ったノゾミを見て、燐もガングニールの聖詠を口にする。

燐の足先から舐めるように炎が這っていくが、回し蹴りをすると払われていく。

炎が消えていくと同時に変化していき、脚には膝まで、腕には二の腕半ばまでの漆黒のインナースーツが纏われていく。

新たな炎が現れると、指先を向けて操るようにゆらりと横に動かしながら揺らめかせ、自ら自分の腕と脚へと纏わせる。

すると炎はそのまま腕に肘下から手首までの、脚は膝下から先を包む真紅のアーマーへと変化する。

目を閉じて両手で目元を隠し、開くとクリアレッドのバイザーが存在し、それに続くようにまるでドラゴンを思わせるような形をしているヘッドギアも形成されていく。

今度は耳に手を当て離すと、ヤギの角のような耳に当てるギアが出現してバイザーとヘッドギアへと接続された。
闇が燐の首を包むように現れると変化し、漆黒のマフラーのようなものとなる。

両端は背中に回されていてとても長く広く、悪魔の翼のような形をしている。

胸から朱色の光が放たれるとそこからアームドギア、ガングニールが飛び出してくると片手で掴む。

目を開きながら調子を確かめるように片手で回してから、構えた。

パキィィィンッ!!

そうして燐もシンフォギア ガングニールを身に纏った。

「あれが今の奏さんのガングニール……」

「二人とも、準備は良いか?」

燐が纏ったガングニールを見て響がそう言うなか、響達と共に訓練場の隅から見守ることにした風鳴司令がノゾミと燐にそう尋ねる。

「はい……」

「あぁ……」

対する二人はそう言いながら生太刀とガングニールを構える。

「OKのようです、梨紗博士。」

そんな二人を見て、風鳴司令はノゾミ達の情報データを録るために管制室にいる梨紗博士に無線でそう呼びかける。

『それでは……始めっ!!』

ヴィィィィィィィィィッ!!

ガキィィィンッ!!

その直後、そう言う梨紗博士の声と共に模擬戦開始のブザーが鳴り響くなか、二人は同時に駆け出し、互いのアームドギアをぶつけ合わせた。
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