神の毒

「!そうか……それ、が、噂に、聞く、『勇華』、か……面白い………!!」

『ぼろマントが……塵殺してあげるわ………』

「気を付けて、千景。こいつは私達と同じ、若しくはそれ以上に場数を踏んでいるし、なにより、『命を奪う』ことに何の躊躇いもない……」

勇華に変身したフェイトを見て、デスガンがそう言いながらダークスカルソードガンを構えるなか、フェイトと千景はそう言いながら身の丈程あるデスサイズ、『大葉刈』を取り出して構える。

『バーテックスと同じだと思えば良いのかしら?』

「寧ろバーテックスより厄介な相手だよ。なにせこいつはゲーム感覚で命を奪っているから……」

『なるほど……仮想ゲーム現実リアルの境目がわからなくなったPKってやつね。私もゲーマーだけど、そこまで堕ちてないわ。』

「フッ!!」

ズドドドドドォンッ!!

そんななか、デスガンはダークスカルソードガンから数弾の黒いエネルギー弾を放ってくる。

「『遅い!!』」

「ッ!?」

「『はあああぁぁぁーーーっ!!』」

「く……っ!!」

ガキィィィンッ!!

対するフェイトと千景勇華・彼岸花フォームはデスガンのエネルギー弾をかわしながら肉簿し、大葉刈で斬りかかる。

が、デスガンは即座にソードモードにしたダークスカルソードガンで二人の大葉刈を受け止める。

「『はあああぁぁぁーーーっ!!』」

「………」

ガキキキキキキキキキキキキキキキィンッ!!

その後、フェイトと千景勇華・彼岸花フォームは大葉刈で猛攻を仕掛ける。

が、デスガンはダークスカルソードガン・ソードモードでそれらの攻撃をことごとく受け止め、いなしていく。

『ちっ!流石にやるわね………!』

「かつて、父さん達が危険視していた組織の幹部だったのがわかる……!」

「『でも!このまま押しきる!!』」

ガキキキキキキキキキキキキキキキィンッ!!

フェイトと千景勇華・彼岸花フォームはそう言いながら大葉刈を振るうスピードを上げ、更に攻め立てる。

「くっ………!!」

「一気に決めるよ、千景!!」

『えぇ、これで終わらせるわ!!』

『彼岸花!マキシマムドライブ!!』

フェイトと千景勇華・彼岸花フォームはそう言いながら彼岸花メモリを大葉刈のマキシマムスロットに挿入し、マキシマムを発動させる。

バサァ……ッ!!

その瞬間、白いフード付きのローブが二人勇華に羽織られる。

「!?させる、か!」

『スカル!マキシマムドライブ!!』

対するデスガンはそう言いながら、スカルメモリの“力”を加えた、自身の得意とするソードスキル、『スタースプラッシュ』を繰り出そうとする。

「(ボソッ)『七人御先』、発動……!」

ザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュザシュッ!!

フェイトが小さな声でそう呟いた次の瞬間、デスガンの『スタースプラッシュ』は勇華を貫き、血に沈める。

「流石だね。でも……」

『少し遅かったみたいね。』

「!?」

が、次の瞬間、『七人御先』によって七人に増えていた勇華がそう言いながら、デスガンを取り囲む。

(しまった……ソードスキルの、硬直が……っ!!)

「『「『「『「『「『「『「『はあああぁぁぁーーーっ!!』」』」』」』」』」』」』」

ズバババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババババァンッ!!

「ぐぅぅぅ……っ!?」

ソードスキルのデメリットである発動後に少しの間、発生する硬直時間によって生まれたデスガンの隙を突き、七人の勇華はスピードを維持したまま、大葉刈で数十回と斬り込む。

「『“天地轟雷・月下冥陽”!!』」

「!?」

ズドドドドドドドォォォンッ!!

次の瞬間、七方向からほとばしる雷光がデスガンに突き刺さり、

ズバババババババァァァンッ!!

その雷光の後に続くように七人の勇華が雷を纏わせた大葉刈で七方向から斬り刻む。

ドッカァァァンッ!!

「ぐあ……っ!?」

パァァァ……ドサッ!!

勇華・彼岸花フォームの必殺技、“天地轟雷・月下冥陽”を食らったデスガンは変身が強制解除されながら倒れ込む。

ガシャンッ!!

その傍らには先程の“天地轟雷・月下冥陽”によって粉砕されたダークロストドライバーとスカルメモリが転がる。

「『Xマジンラー』のメンバーが一人、死銃(デスガン)……貴方を逮捕します……」

倒れ込んだデスガンに対し、七人の内一人の勇華がそう言いながら歩み寄る。

『!?危ない!姉さん!!』

「!?」

ズガァァァンッ!!

が、千景がそう言った瞬間、放たれた赤黒いエネルギー弾が勇華を撃ち抜き、

「「「「「!?」」」」」

ズガガガガガァァァンッ!!

「くっ!!」

直後、離れていた六人の内の五人も撃ち抜かれるなか、最後の一人は千景が警告したお陰でギリギリ回避することに成功する。

「ありがとう、千景。お陰で助かった……」

『ギリギリ『七人御先』がまだ発動中で良かったわ……まだ武器を隠し持っていたなんてね………』

「………」

フェイトと千景はそう言いながら、起き上がりながらこちらに一見拳銃のように見えるデバイスの銃口を向けるデスガンを見据える。

「!?あの銃は……まさか………!!?」

『?姉さん……?』

デスガンが今、手にしているデバイスを見て、フェイトは仮面の下で表情を強張らせる。

上部に深紅のエストックの刀身があることや何らかの挿入口があるという違いはあるものの漆黒のデバイスの形状は以前、シノンから聞いていた、かつて、『死銃』の名を冠したデスガンの愛銃にして、詩乃の実家である『朝田家』の人生を狂わせる一因を作った忌まわしき銃のものに酷似していた……

「……黒星ヘイシン……っ!!」
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